2000 Fiscal Year Annual Research Report
ラミニン2欠損筋ジストロフィーとライ病に共通する末梢神経髄鞘形成不全の分子機構
Project/Area Number |
11470151
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
松村 喜一郎 帝京大学, 医学部, 助教授 (50260922)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷 麻子 帝京大学, 医学部, 助手 (90328039)
山田 広樹 帝京大学, 医学部, 助手 (90260926)
|
Keywords | 髄鞘形成 / 先天性筋ジストロフィー / ライ病 / laminin-2 / dystroglycan / シュワン細胞 |
Research Abstract |
対象および方法:E18から生後3ヵ月までの各成長段階のラット坐骨神経を蛍光染色、Western blot、免疫電顕により検討した。蛍光染色は共焦点レーザー顕微鏡を用いて定量的に検討した。また同時期のシュワン細胞(Sc)基底膜の形成過程を電顕により分析した。 結果:Myelinating Scは、生後数週間でI:Scが多数の軸索を包んでいる状態、II:Scが1本の軸索をensheathするが、myelin未形成の状態、III:Myelinを形成している状態の3段階の分化過程が急速に進行する。E18ではすべてのScがstagelであったが、生下時(PO)は大部分のScがstage I(66.43%)またはII(33.33%)の状態、生後3日(P3)ではI-IIIの混在、生後7日(P7)では大部分のScがstage III(83.20%)の状態であった。蛍光染色上、ScのDGおよびlaminin-2の発現はE18からPOまでは低かったが、POからP7にかけて統計的有意差をもって急速に上昇し、その後の成熟過程では有意な増減はみられなかった。Western blotでもこれに見合う結果を得た。免疫電顕では、stage I-IIIを通じてDG反応性はScのabaxonal membrane直下の細胞質に選択的にみられ、P3におけるScのDG反応性はstage III>II>Iの順に高い密度で観察され、統計的な有意差を認めた。Scの基底膜は、E18においてすでに未熟な形態のものが断続的に認められたが、PO以降になりlamina densaとlamina lucidaが区別できる成熟した形態の基底膜が出現し、P7ではSc表面のほぼ100%が成熟した基底膜に覆われていた。 考察:Scの分化過程において、髄鞘形成が急速に開始・進行する生後1週間という時期に一致してDGとlaminin-2の発現の上昇がみられた。またSc基底膜もこの時期に一致して急速に形成が進むことが分かった。以上のことからDGとlaminin-2は、Scの基底膜の形成を介して髄鞘形成に関与しているものと考えられた。
|
-
[Publications] Masaki T et al.: "Expression of dystroglycan and laminin-2 in peripheral nerve under axonal degeneration and regeneration."Acta Neuropathol.. 99. 289-295 (2000)
-
[Publications] Claudepierre T et al.: "Characterization of the molecular architecture of the dystrophin associated glycoprotein complex in Muller glial cells."J.Cell Sci.. 113. 3409-3417 (2000)
-
[Publications] Masaki T et al.: "Expression of dystroglycan complex in satellite cells of dorsai root ganglia."Acta Neuropathol.. (in press).