2001 Fiscal Year Annual Research Report
Cre-loxP系を応用した肥大型心筋症モデルマウスの作成とその解析
Project/Area Number |
11470165
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
佐藤 正宏 東海大学, 総合医学研究所, 助教授 (30287099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大鈴 文孝 防衛医科大学校, 内科学第一, 教授
多田 昇弘 大正製薬株式会社, 創薬研究所, 主任研究員
木村 穣 東海大学, 医学部, 教授 (10146706)
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Keywords | Cre-loxP系 / IL-1α / 肥大型心筋症 / トランスジェニックマウス / 疾患モデルマウス / 心臓特異的 |
Research Abstract |
[序論]本研究は、Cre-loxP系を応用することによりマウス心臓特異的にヒトIL-1α cDNAを過剰発現することにより、その発現に起因する心肥大の分子機構を解明することを最終目的とする。そのためには、CAG(cytomegalovirus enhancer/chicken β-actin promoter)-loxP/EGFP(enhanced green fluorescent protein)-CAT(chloramphenicol acetyltransferase)/loxP-IL-1α-IRES(internal ribosomal entry site)-lacZ transgene(CELIZ)を有するtransgenicマウス(Tg)系統とMHC(α-myosin heavy chain promoter)-Cre transgene(MHC-Cre)を有するTg系統とを作製し、その後、両者の掛け合わせにより、double Tgを作製する。このdouble Tgでは、MHC promoterの影響下、心臓特異的にCre蛋白が発現し、CELIZ transgene内のloxPで挟まれたEGFP配列を除去する。その結果、下流側のIL-1αがCAG promoterの影響を受け、IL-1αが心臓特異的に発現することにより、心肥大が誘発されると考えられる。 [結果/展望] CELIZ高発現系統を最終的に2系統を得、これらの子孫とCre発現Tgマウスとを掛け合わせた。この場合、MHC-Cre導入マウスの作製を最初想定したが、別の目的の実験から既にCreを骨格筋、心臓、脳、膵臓、腎臓等様々な臓器で発現するMNCE Tg(Sato et al.,Mol.Reprod.Dev.60,446-456,2001)を作製していた。このMNCE TgとCELIZ Tgとを掛け合わせ、double Tg(これをMNCELIZと称する)を得た。このマウスでは、心臓を含むCreを発現する臓器には、全てlacZの発現があることがその基質であるX-Galによる組織化学的染色で判明した。lacZが発現するということは、その上流にあるIL-1αも発現しているということで、実際、RT-PCR法でその発現が確認された。しかし、残念ながら、MNCELIZの心臓の病理組織解析の結果、心肥大を示す所見は得られなかった。おそらくIL-1αの発現が未だ低い可能性もある。というのも、Northern blot解析では、明確なバンドが得られなかったからである。因みに、心肥大を示した以前のTg(CAG-IL-1α;単にCAG promoterの影響下、IL-1α cDNAを発現する系統)マウスでは、Northern blotレベルで明確なバンドが得られた[Isoda et al.,J.Cardiac Failure,2001(in press)]。IL-1αの効果は、その微量な発現でも組織・細胞に対し、影響を与えるものと考えおり、その意味では、Cre-loxP系を用いた本実験系も有効かと考えられたが、心臓に関しては、微量ではIL-1αの効果がなく、多少の量が必要とされるのではと思われる。可能性は低いかもしれないが、新たなるCELIZ高発現系統を作製する必要を考えている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Sato: "Intrabursal transfer of spermatozoa(ITS):A new route for artificial insemination of mice"Theriogenology. 55. 1881-1890 (2001)
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[Publications] M.Sato: "Usefulness of double gene construct for rapid identification of transgenic mice exhibiting tissue-specific gene expression"Molecular Reproduction and Development. 60. 446-456 (2001)
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[Publications] K.Isoda: "Myocardial hypertrophy in transgenic mice overexpressing human interleukin 1α"Journal of Cardiac Failure. (in press). (2001)
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[Publications] M.Sato: "Direct injection of foreign DNA into mouse testis as a possible in vivo gene transfer system via epididymal spermatozoa"Molecular Reproduction and Development. 61. 49-56 (2001)