2000 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚構成細胞の増殖・分化を制御する遺伝子の系統的単離とそのヒト疾患における意義
Project/Area Number |
11470180
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
許 南浩 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (70173573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高石 樹朗 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (10303223)
諸橋 正昭 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50018719)
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Keywords | 皮膚 / RNA differential display / 遺伝子 / 分化 / アクチン / フィラグリン / 海馬 / プルキンエ細胞 |
Research Abstract |
皮膚科領域の主要な疾患の病因を理解し根元的な治療戦略を構築するため、マウス胎児皮膚の形態形成過程で発現が変化することを指標に、皮膚構成細胞の増殖・分化の制御に関わる遺伝子を系統的に単離し、解析する。今年の研究成果の要約は以下のとおりである。 1.Hornerin(4A40):hornerinは本研究で新規に単離した遺伝子で、N-末にEF-handdomain、中央の大部分はリピート構造からなるプロフィラグリン類似の構造を持つ。今年度は、約11kbのcDNAの塩基配列を最終的に決定した。大腸菌に発現させたタンパク質を抗原として兎で抗体を作成した。免疫染色では、hornerinタンパク質は表皮顆粒層から角化層、毛のうの内毛根鞘に検出された。マウス胎児皮膚の形態形成の進展、すなわち角化の進行と共にhornerinタンパク質は部分分解された。このことはhornerinがprofilaggrinと同様、posttranscriptional proteolytic processingを受けることを示唆する。更に、マウス角化細胞の初代培養を分化誘導するとprofilaggrinと共にhornerinが誘導され、しかもhornerinタンパク質はkeratohyalin granulesに見出された。以上の結果、hornerinは構造のみならず、機能もprofilaggrinに類似しており、表皮の角化に関与することが示唆された。Profilaggrinはhereditary ichthyosis vulgarisの一部の原因遺伝子であり、hornerinも何らかのヒト疾患と関係していることが期待される。 2.Calmin(1C10):N-末にCHドメイン、C-末に膜貫通ドメインをもつ。抗体を作成して各臓器の発現を調べた。皮膚では顆粒層、角化層に発現し、分化との関連が示唆された。精巣での発現が最も強く、精細胞の最終分化段階に特異的に発現していた。脳では、海馬、視床、小脳のプルキンエ細胞に発現がみられ、そのレベルは生後脳の成熟過程で増強していた。また、細胞内では胞体から樹状突起側にタンパク質が検出され、軸索側には検出されないという極性を示した。3'側のdifferential splicingによって異なる転写物ができ、その一部は膜貫通ドメインを欠くことも明らかになった。哺乳類細胞に発現させると、膜貫通ドメインの有無によって細胞内分布パターンが異なっていた。以上、詳細な分子機能は今後の解析を待たねばならないが、calminは多様な細胞で重要な機能を果たしている遺伝子であることが示唆された。 3.膜上にプロットしたcDNAアレイを用いて、胎生13.5日と16.5日のマウス皮膚を比較し、新たに発現が変化する既知遺伝子を多数同定した。その意義を解析中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kataoka et al.: "A carcinoembryonic antigen family cDNA from mouse placenta encoding a protein with a rare domain composition"Placenta. 21(7). 610-614 (2000)
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[Publications] Nakajima et al.: "Cathepsin-6, a novel cysteine proteinase showing homology with and co-localized expression with cathepsin J/P"Biochem.J.. 349. 689-692 (2000)
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[Publications] Kuroki et al.: "Cholesterol sulfate, an activator of protein kinase C mediating squamous cell differentiation : a review."Mutat.Res.. 62. 189-195 (2000)
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[Publications] Kataoka et al.: "Screening for genes involved in tissue invasion based on placenta formation and cancer cell lines with low and..."Cancer Lett.. 163(2). 213-219 (2001)