2001 Fiscal Year Annual Research Report
脳内神経伝達機能の画像診断を可能にする新規放射性診断薬の開発に関する研究
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11470193
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川井 恵一 金沢大学, 医学部, 教授 (30204663)
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Keywords | 脳機能診断薬 / 脳内神経伝達機能 / 放射性ヨウ素標識 / 血漿蛋白結合 / 結合置換効果 / 脳血流診断薬 / 組織移行性の向上 |
Research Abstract |
脳内神経伝達機能の核医学診断法の開発は、脳機能と精神疾患等の関連性を明らかにする上で極めて重要である。既に芳香環4位の水酸基を欠くDOPAの構造類似体meta-Tyrosineのヨウ素標識体(I-L-mTyr)が、アミノ酸膜能動輸送機構により脳や膵臓に高く集積することを見い出した。同時に高い代謝安定性と体外排泄性を具備していることから、アミノ酸膜輸送機能診断薬として有用であることが示された。直接酸化標識法では2種の位置異性体が生成するので、これらを分取して体内挙動を比較した。6位標識体(6-I-mTyr)では脳への滞留傾向が見い出され、その集積は、立体選択的なエネルギー依存性能動輸送機構によるものであった。酵素阻害実験では、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤により6-I-mTyrの脳集積が有意に低下したが、チロシン水酸化酵素の阻害剤では影響が認められなかった。よって、6-I-mTyrは脳内神経終末機能診断薬として有用であると考えられた。 一方、脂溶性によって脳集積性を示す脳機能診断薬の中には、血漿蛋白への結合により組織移行性が妨げられているものがある。そこで、当該医薬品の蛋白結合部位において結合置換効果を示す安全性の高い薬物を併用し、血中遊離濃度を増大させることにより、脳への移行性を高め、更に体外への排泄を促進させることを試みた。その結果、蛋白結合性の高い脳血流診断薬I-IMPに関して、血漿蛋白上の特異的結合部位を同定すると共に当該部位で競合阻害効果を示す安全性の高い置換薬を併用し、組織移行性の決定因子である血中遊離濃度を顕著に増加させ得ることを確認した。さらに、同様の置換薬を投与したサルにおいて、I-IMPの脳集積量が無負荷時の1.3倍に増加するなど、医薬品の標的組織への集積性を向上させ、同時に体外排泄を促進させ得ることを実証した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kawai K., et al.: "Regulation of ^<123>I-IMP cerebral accumulation by competitive displacement of serum protein binding"Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals. 44. 462-464 (2001)
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[Publications] Takamura N., Kawai K., et al.: "Potentialization mechanism of domino displacement on ^<123>I-IMP serum protein binding"Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals. 44. 465-467 (2001)
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[Publications] Kawai K., et al.: "Proceedings of International Symposium on Serum Albumin and α1-Acid Glycoprotein from Basic Sciences to Clinical Applications :"Competitive Displacement of Serum Protein Binding to Regulate Parmacokinetics. Otagiri M., Sugiyama Y., Testa B., Tillement J.P. eds.. 349 (2001)