2001 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病の難治化における中枢ヒスタミン神経系の役割に関する研究
Project/Area Number |
11470199
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 千裕 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (60292330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 恭彦 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (90333799)
大津 浩 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60250742)
谷内 一彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50192787)
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Keywords | 精神分裂病 / ヒスタミン / 遺伝子多型 / PET |
Research Abstract |
インフォームドコンセントを得た健常者およびICD-10の診断基準を満たす精神分裂病患者について、採取されたDNAサンプルを用いたヒスタミンH1およびH2受容体遺伝子の遺伝子多型の検討と、ヒスタミンH1受容体の放射性リガンドである[^<11>C]ドキセピンを用いたポジトロンエミッショントモグラフィ-(PET)による脳内H1受容体の測定を行った。 その結果、ヒスタミンH1受容体遺伝子には翻訳領域にA1068CとT1346C(Leu449Ser)、転写領域にC-17Tの3つの多型があることが分かり、各々の多型とも精神分裂病との有意な相関があった。またPET解析においても、精神分裂病患者の外側前頭前野および帯状向前部においてヒスタミンH1受容体結合能の低下を認めた。'ヒスタミンH2受容体遺伝子については、翻訳領域にG543A、転写領域にA-592GとG-1018Aの3つの多型を見つけ出したが、精神分裂病との有意な相関はみられなかった。精神分裂病患者の髄液におけるヒスタミン代謝回転の上昇という報告を加味すれば、ヒスタミンH1受容体結合能の低下はそれに伴うダウンレギュレーションと思われるが、ヒスタミンH1受容体の異常も考慮されうる。 前年度までにおいて精神分裂病の動物モデルにおいて中枢ヒスタミン神経系の関与を示唆していたが、今年度の研究において臨床的にも、精神分裂病の病態にヒスタミン神経系が関与することが明らかになった。
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[Publications] Ito C: "Novel antipsychotics discovery using DNA microarray"Int. Psychiat. Today.. 10・3. 7-9 (2001)
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[Publications] 伊藤千裕: "依存性薬物と中枢ヒスタミン"医学の歩み. 199・6. 441-444 (2001)
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[Publications] 伊藤千裕: "急性期精神分裂病の合理的薬物選択アルゴリズム"脳と科学. 23・8. 685-690 (2001)
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[Publications] 伊藤千裕: "慢性期精神分裂病の合理的薬物選択アルゴリズム"脳と科学. 23・9. 789-792 (2001)
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[Publications] 伊藤千裕: "精神分裂病の維持期の合理的薬物選択アルゴリズム"脳と科学. 23・10. 889-894 (2001)
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[Publications] 伊藤千裕: "精神分裂病治療アルゴリズム"臨床精神薬理. 4・4. 437-444 (2001)
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[Publications] Ito C: "Histamine Research in the New Millenium"Elsevier Science. 521 (2001)