2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11470200
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
三國 雅彦 群馬大学, 医学部, 教授 (00125353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間島 竹彦 群馬大学, 医学部, 助手 (00312869)
井田 逸朗 群馬大学, 医学部, 講師 (50251103)
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Keywords | 感情障害 / PET脳画像解析 / 右海馬傍回 / 前頭前野 / 右上側頭回 / ストレス脆弱性 / CRH / デキサメサゾン試験 / 死後脳 |
Research Abstract |
感情障害の病態としての脳内責任部位の同定、脆弱性の責任部位の検索を脳画像学的解析と神経内分泌学的検査により検討し、それらの脳部位について感情障害患者死後脳を用いて免疫組織学的検索を開始した。 (1)未治療ないし治療中断後に再発した24症例の感情障害の病態をFDG-PETによる脳画像解析により検索し、10例の健康対照の脳画像と比較して有意差のある脳部位を同定した。健康対照よりグルコース代謝の低下していた脳部位は左前頭前野、右上側頭回、一方、増加していた脳部位は右海馬傍回であった。抗うつ治療前後で測定できた10症例の検討では左前頭前野、右海馬傍回の異常は抗うつ療法奏効後に正常化したが、右上側頭回の異常は不変であり、素因的な変化である可能性が示唆された。 (2)感情障害の発症にはストレス負荷の影響が大きいといわれ、ストレス脆弱性があるといわれているが、その生物学的実態は不明である。ストレスによる内分泌反応の調節系における機能異常の有無を検査するため、視床下部ホルモンであるコルチコトロピン遊離促進ホルモン(CRH)を負荷した際の副腎皮質ホルモン分泌に対するグルココルチコイド受容体(GR)を介するフィードバック機能を測定した。本邦ではこのGRを介するフィードバック機能亢進が感情障害患者の20%に認められるに過ぎないといわれてきたが、未治療ないし治療中断後に再発した32症例に対するCRH負荷を加えたデキサメサゾン試験の結果、75%が非抑制と判定され。非抑制群と抑制群での脳画像解析での差異のある脳部位は右海馬傍回であった。 (3)感情障害死後脳における組織学的な異常の有無に関する研究に着手した。6例の躁うつ病や老年期うつ病と6例の対照とについて海馬歯状回の神経新生の測定を細胞分裂期にのみ核内に出現するKi67タンパク質の出現の有無で解析し、うつ病で低頻度という予備的な結果を得た。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kikuchi K., Mikuni M., et al: "A study of the relationship between metabolism using 1H-MRS and function using several neuropsychological tests in temporal lobe epilepsy"Seizure. 10. 188-193 (2001)
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[Publications] 三國雅彦: "創薬と病態"日本神経精神薬理学雑誌. 22. 1-2 (2002)
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[Publications] 三國雅彦: "感情障害の病態に関する最近の研究の進歩"Central Nervous System Today. 4. 21-26 (2001)
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[Publications] 福田正人, 三國雅彦他: "近赤外線巣ペクトロスポピーによる脳機能イメージング"臨床精神医学. 30. 937-951 (2001)
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[Publications] 三國雅彦: "看護のための最新医学講座 第12巻 精神疾患 (加藤進昌 編)"中山書店. 430 (2002)