1999 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期ストレスによる感情病病態モデルラットの作成とその行動科学・分子生物学的検証
Project/Area Number |
11470203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
辻村 徹 長崎大学, 医学部, 助教授 (70236892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻田 高宏 長崎大学, 医学部, 講師 (40304919)
林田 雅希 長崎大学, 保健管理センター, 講師 (70264223)
中根 允文 長崎大学, 医学部, 教授 (80039833)
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Keywords | 感情病 / 胎生期ストレス / 動物モデル / 抗うつ薬 / 行動科学 |
Research Abstract |
ラットにおいて,胎生後期は胎仔の神経伝達物質受容体形成に重要な時期とされる。この時期に軽微なストレスを受けたラット(胎生期ストレス群)が感情病(うつ病)の生化学的脆弱性モデルと成り得ることをこれまでの研究により確認してきた。成熟後さらに,慢性の予測不可能なマイルドなストレス(chronic unpredictable variable stress,CVS)を加えると,雄性ラット胎生期ストレス群において暗期行動量の有意な減少が認められた。今回実施したCVSは対照群に対しては,生後未処置群と比較して,暗期行動量への影響を生じない程度の比較的軽微なストレスと考えられ,胎生期ストレス群は生後のストレスに脆弱性を有していると考えられた。また,抗うつ薬イミプラミン10mg/kg反復腹腔内投与をCVS負荷後に行うと,雄性胎生期ストレス群においてCVS負荷による対照群に比しての暗期行動量の減少は消失した。同様に,イミプラミン反復投与の前処置は,CVS負荷による暗期行動量の減少を消失させた。このように,イミプラミンは対照群とは異なって胎生期ストレス群に対して,CVS負荷による暗期行動量の減少を是正する方向に作用した。以上より,胎生期ストレス雄性ラットで認められたCVS負荷後の暗朗行動量の減少はうつ病の病態モデルの行動指標となりうると考えられた。一方,コミュニケーションボックスを用いた心理的ストレスのみの反復処置によっては,CVS後にみられた胎生期ストレス群の暗期行動量の減少は認められず,ストレスの種類により胎生期ストレス群の自発行動量に及ぼす影響は異なっていた。また,摂食制限処置反復後の摂食量の正確な測定(ペレットフィーダユニット)により,胎生期ストレス群では対照群に比し,摂食量の有意な増加が認められ,前者が過食になりやすい傾向を有しているとみなされた。神経性大食症が感情病の近縁疾患とみなされることからも興味深い結果と考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 辻村 徹他: "胎生期ストレスラットにおける種々の生後ストレス負荷が行動に及ぼす影響についての検討"精神薬療基金研究年報. 第32集(印刷中). (2000)
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[Publications] 辻村 徹他: "ストレス社会におけるうつと不安"臨床と研究. 77・5(印刷中). (2000)
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[Publications] T.Tsujimura et al: "The effects of repeated antidepressant treatment on locomotor actions after chronic unpredictable variable stress in adulthood of prenotal stress ell Wister rats"22nd C.I.N.P congress. (印刷中). (2000)
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[Publications] T.Asou et al: "The effects of various types of stress in adulthood on food in take preratal stress Wistar rats"22nd C.I.N.P congress. (印刷中). (2000)
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[Publications] T.Tsujimura et al: "The effects of chronic variable stress on the behavior of preratal stressed adult Wistar rats"The 9th scientific meeting of the pacific rim college of psychiatrist. 191 (1999)
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[Publications] 中根允文 他: "古典的な心因性精神病"精神医学レビュー. 33. 79-81 (2000)