2000 Fiscal Year Annual Research Report
自閉性障害の初期徴候および音声言語の音響分析に関する研究
Project/Area Number |
11470204
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山崎 晃資 東海大学, 医学部, 教授 (50147170)
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Keywords | 自閉性障害 / 聴覚障害 / 音響分析 / 言語発達 / 語音識別 / 音声波形 / 母音フォルマント / 言語音知覚 |
Research Abstract |
自閉性障害児の音声言語に関する音響学的検討をすすめているが、今年度は音声言語の発達過程および言語音知覚について、次の2つの研究を行った。 1)健常児の音声言語における母音フォルマントの年齢による変化に関する研究 対象と方法:普通保育園に通園している2〜6歳の10例について、日常的になじみのある品物・動物の写真カードを提示し、「これは何ですか」という質問に対する言語的反応を録音し、音声分析ソフトMulti-Speech 3700(Kay Elemetrics社製)を用いて5母音の第1フォルマント(F1)と第2フォルマント(F2)の変化を年齢別に検討した。結果と考察:(1)5歳では各母音が重複することなく集合化しているのに対して、2〜4歳では重複部分が大きく、バラツキも大きい、(2)2歳では未だ不明確であるが、3〜4歳では各母音のF1値の差異が少ないことが認められた。F2が先に獲得され、言語発達の過程で徐々にF1が母音別に分化していくと推定された。 2)自閉症児の言語音知覚に関する実験的研究 対象と方法:成人男性による/saita/の音声をCRTデイスプレイに音声波形として表示し、/s/の持続時間を語頭より13ms単位で短縮して、saita→taita→aitaに変化する刺激音(16語)を作成した。自閉性障害児・者7例、健常者7例、聴覚障害者1例に刺激音を連続的に聞かせ、強制選択法によって語音の識別実験を行った。結果と考察:健常者群では識別率が100%であり、聴覚障害者では/taita/の識別率が60%であった。一方、自閉性障害群では識別率が100%に達せず、聴覚障害者の反応パターンを示すタイプと、識別率が100%に達しても反応の変動性が大きいタイプのあることがわかった。自閉性障害では音声認識における範疇知覚の処理過程が成熟していない可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 山崎晃資: "ADHD(注意欠陥多動性障害)の概念"精神療法. 26・3. 227-237 (2000)
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[Publications] 山崎晃資: "認知障害を持つ子どもの理解-その2 注意欠陥多動性障害(ADHD)の歴史-"養護学校の教育と展開. 118号. 43-48 (2000)
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[Publications] 山崎晃資: "認知障害を持つ子どもの理解-その3 注意欠陥多動性障害の症状と対応-"養護学校の教育と展開. 119号. 40-44 (2000)
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[Publications] 山崎晃資: "児童期精神障害とその分類"小児科診療. 63・10. 1559-1566 (2000)
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[Publications] 山崎晃資: "発達障害"臨床精神医学. 2000年増刊号. 80-86 (2000)
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[Publications] 山崎晃資: "KEY WORD精神第2版(分担執筆)"先端医学社. 219 (2000)