2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11470206
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization For Medical Research, The Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
原 孝彦 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (80280949)
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Keywords | AGM領域 / ヘマンジオブラスト / PCLP1 / Runix-1 / c-myb / 造血幹細胞 / 血管内皮細胞 / 発生可塑性 |
Research Abstract |
造血幹細胞は胎生期AGM領域の血球血管共通前駆細胞ヘマンジオブラストから発生すると考えられている。我々はAGM領域由来のヘマンジオブラスト様細胞株に対するモノクローナル抗体を利用して、新規ヘマンジオブラストマーカーpodocalyxin-like protein 1(PCLP1)を同定した。AGM領城のPCLP1陽性CD45陰性細胞群は、in vitro培養系において血液細胞と血管内皮細胞の両者を産生した。一方、これらの細胞群をbusulfan処理した新生マウスの肝臓に移植すると、すべての系統の血液細胞ならびに肺、小腸、子宮の血管内皮細胞、平滑筋細胞、そして間質細胞の一部がドナー由来に置き代わることを見い出した。さらにAGM領域細胞をレトロウイルスでマーキングして、その発生運命を追跡したところ、血液細胞と小腸の非血球系細胞の両者が同一の幹細胞に由来することが判明した。同様のin vivo分化は、造血幹細胞が高度に濃縮されたCD45陽性の骨髄SP細胞を移植した場合にも観察された。したがって、胎生期AGM領域ヘマンジオブラストは移植動物内でまず造血幹細胞へと分化し、臓器特異的に血管内皮細胞などへ分化転換をおこしたと推察される。 我々はAGM領域にて造血幹細胞が発生するには、AML1およびc-myb転写因子が必須であることを示してきた。これらの転写因子の機能を知る目的で、ノックアウトマウスAGM領域に由来する細胞株を新規樹立し、誘導性プロモーター下にAML1あるいはc-mybをオンオフさせる実験系を作製した。遺伝子探索の結果、insulin-likegrowth factor binding protein-3のmRNAがAML1により発現抑制されることを見いだした。両転写因子の下流で作用する遺伝子群のさらなる解析を通して、ヘマンジオブラストから造血幹細胞が誘導される分子機構が明らかにされると期待される。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] K.Minehata, et al.: "Macrophage-colony stimulating [actor modurates the development of hematopoiesis by stimulating the differentiation of endothelial cells in the AGM region."Blood. (in press).
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[Publications] M.Takeuchi, et al.: "Cultivation of AGM-derived hematopoietic stem cells in the fetal liver microenvironment amplifies long-term repopulating activity and enhances engraftment to the bone marrow."Blood. 99. 1190-1196 (2002)
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[Publications] M.Arakawa, et al.: "Negamycin can restore dystrophin in mdx skeletal muscle."Acta Myologica. 20. 154-158 (2001)
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[Publications] Y.Mukouyama, et al.: "The AML1 transcription factor functions to develop and maintain hematogenic precursor cells in the embryonic aorta-gonad-mesonephros region."Developmental Biology. 220. 24-36 (2000)
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[Publications] A.Miyajima, et al.: "Role of Oncostatin M in hematopoiesis and liver development."Cytokine and Growth factor Reviews. 44. 27-36 (2002)
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[Publications] 原 孝彦: "ESからの造血再生の可能性"血液・腫瘍科. 44. 112-120 (2002)
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[Publications] 原 孝彦: "AGM領域について一造血幹細胞とヘマンジオブラスト"今日の移植. 15. 45-53 (2002)
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[Publications] 原 孝彦: "実験講座マイクロアレイの使い方-幹細胞を用いた遺伝子発現解析"ゲノム医学. 2. 77-84 (2002)
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[Publications] 原 孝彦: "血液血管内皮共通祖先細胞ヘマンジオブラスト"血管医学. 2. 435-442 (2001)
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[Publications] 原 孝彦: "造血幹細胞とヘマンジオブラスト"分子細胞治療. 2. 11-16 (2001)
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[Publications] 原 孝彦: "造血系・血管系再生の試み"医学のあゆみ. 192. 821-825 (2000)
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[Publications] 原 孝彦: "造血発生とサイトカイン. 医学のあゆみ-別冊免疫疾患-state of arts"医歯薬出版株式会社(印刷中). (2002)