2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11470211
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
河野 道生 山口大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40161343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津山 尚宏 山口大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10335747)
石川 秀明 山口大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40294623)
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Keywords | 骨髄腫 / 骨髄腫細胞 / 骨髄腫細胞分化 / STAT1 / STAT3 / IL-6 / SCIDマウス |
Research Abstract |
骨髄腫患者の骨髄穿刺液から骨髄単核球分画を分離した後、アガロースゲルとともにSCID-hIL6 Tg (transgenic) miceの腹腔内に注射し、移植生存できた細胞から細胞株を数種樹立した。これらの細胞株は表面抗原の解析結果から、すべて未熟型骨髄腫細胞であった。これらの細胞株の中でY01細胞株のみが、IL-6により細胞表面抗,原の発現を変化させ、形態学的にも未熟型から成熟型へと分化した。Y01細胞株につき、IL-6による細胞内シグナル伝達を他の細胞株とのそれらと比較しながら詳細に検討した。Y01細胞株は、IL-6に対する受容体IL-6R発現は中等度であり、IL-6刺激によりSTAT3のリン酸化に加えて、他の骨髄腫細胞株では認められないSTAT1のリン酸化も誘導した。MAPkinase ERK1/2のリン酸化は他の骨髄腫細胞株と同程度であった。STAT1を特異的に活性化しうるIFNγのみでは、Y01細胞株は分化できなかった。特異的inhibitorを用いた実験により、IL-6によるY01細胞株の分化にはMAPkinaseの活性化は必須ではなく、STAT3とSTAT1の両方の活性化が必要であった。一方で、Y01細胞株はCD45陽性でsrc型チロシン・キナーゼの活性化があるにも関わらず、IL-6による増殖反応ではなく分化反応を示す。そこで、IL-6により増殖反応を示すU-266細胞株とIL-6により分化反応を示すY01細胞株とで、詳細にIL-6刺激後の反応を解析した。1)両細胞とも遺伝子導入が困難であるため、Hela細胞株においてtag化したSTAT3、STAT1を発現させて、IL-6刺激後の分子の動きをリアルタイムに解析した。2)両細胞株において、IL=6刺激後の遺伝子発現プロファイルをDNAチップで解析した。遺伝子発現プロファイルには、分化し得るY01細胞株に特異的と思われる遣伝子発現も検出された。現在詳細に検討を加えている。以上、樹立されたY01細胞株は、IL-6による骨髄腫細胞の分化機構および今後の治療戦略を考える上で極めて重要と考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ishikawa H: "Requirement of src family kinase activity associated with CD45 for myeloma cell proliferation by interleukin-6"Blood. 99(6). 2172-2178 (2002)
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[Publications] 石川秀明: "Pax-5によるB細胞分化制御とリンパ腫"Molecular Medicine. 38(7). 790-796 (2001)
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[Publications] 河野道生: "Trance"分子細胞治療. 2(5). 540-542 (2001)
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[Publications] 河野道生: "外来における多発性骨髄腫の管理の実際"治療. 84(2). 295-300 (2002)
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[Publications] 河野道生 (分担): "看護のための最新医学講座 9.血液・造血器疾患"中山 書店. 24 (2001)