2000 Fiscal Year Annual Research Report
正常ヒト造血幹細胞の増殖・分化におけるMAPキナーゼとSTAT3の機能解析
Project/Area Number |
11470213
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
北川 誠一 大阪市立大学, 医学部, 教授 (50133278)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 賢一 大阪市立大学, 医学部, 助手 (20305618)
日野 雅之 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (50244637)
|
Keywords | 造血幹細胞 / CD34 / 好中球 / MAPキナーゼ / ERK / p38 / STAT3 / アポトーシス |
Research Abstract |
MAPキナーゼ系にはいくつかのサブタイプが知られており、その機能もサブタイプにより、また、細胞の種類によっても異なると考えられる。我々は正常ヒト造血幹細胞(CD34陽性細胞)を用いて、特定のMAPキナーゼサブタイプカスケードがサイトカイン特異的に活性化されることを明らかにした。すなわち、G-CSF、GM-CSF、SCF、TPO及びIL-3によりMEK-ERK系のみが特異的に活性化され、IL-1βによりMKK3/6-p38MAPキナーゼ系のみが活性化されること、また、TNFαによりMEK-ERK、MKK4-JNK及びMKK3/6-p38MAPキナーゼ系が活性化されることを明らかにした。これらの結果は、成熟好中球で得られた結果とは異なり、細胞分化に伴い活性化されるMAPキナーゼサブタイプカスケードが変化することを示している。例えば、好中球においてはGM-CSF刺激によりHRKばかりでなくp38MAPキナーゼも活性化され、共に好中球の接着と活性酸素産生に関与していることが明らかになった。また、好中球のアポトーシスに伴い、ERKおよびp38MAPキナーゼがカスパーゼ依存性に切断・分解され、この分解がアポトーシスに伴う好中球の機能制御に関与しているが明らかになった。さらに、CD34陽性細胞においては、STAT3α、STAT3β、STAT5a、STAT5b、STAT1αおよびSTAT1βのチロシンまたはセリン残基のリン酸化がサイトカイン特異的に生じることが明らかになった。CD34陽性細胞の増殖・分化に対する様々なサイトカインの特異的な併用効果は、これらのシグナル伝達系のクロストークにより生じると考えられる。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Suzuki,K.,Hino,M.,Kitagawa,S.: "Cleavage of MAP kinases in human neutrophils undergoing apoptosis : Role in decreased responsiveness to inflammatory cytokines"J.Immunol.. 166. 1185-1192 (2001)
-
[Publications] Takahashi,T.,Suzuki,K.,Kitagawa,S.: "Activation of human neutrophil by cytokine-activated endothelial cells"Circ.Res.. 88. 422-429 (2001)
-
[Publications] Hino,M.,Suzuki,K.,Kitagawa,S.: "Ex vivo expansion of mature human neutrophils with normal functions from purified peripheral blood CD34^+ haematopoietic progenitor cells"Br.J.Haematol.. 109. 314-321 (2000)