2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11470223
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
荒川 浩 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90271238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 敬乃 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70223071)
高崎 二郎 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (30197082)
清水 浩 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (90260843)
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Keywords | 慢性肺疾患 / 自己抗体 / 炎症性サイトカイン / 気道吸引液 / 先天性肺胞蛋白症 / サーファクタント蛋白質B |
Research Abstract |
慢性肺疾患(CLD)VI型に分類される先天性肺胞蛋白症のわが国における患者発生状況を日本未熟児新生児学会、新生児希有疾患(病態)サーベイランス事業に登録し調査した。過去の文献検索の結果、わが国における患者発生は1988年〜1999年の間に7例であり、数年に1例程度の報告がなされていた。また1998年7月〜2002年6月の4年間の新たな患者発生は2例であった。過去に報告された2症例の先天性肺胞蛋白症ならびに今回のサーベイランス事業で報告された1症例の先天性肺胞蛋白症の肺組織を用いて、サーファクタント蛋白質B(SP-B)遺伝子異常との関連を検討した。3症例ともSP-Bの蛋白質としての発現は陽性であり、SP-B欠損症は否定された。また121ins2変異はみられなかった。2症例においてSP-B geneならびにSP-B cDNAの全塩基配列を決定したところ、SP-B geneの塩基配列には異常は見られなかっ準。しかし、SP-B cDNAのエクソン8に12塩基の欠失が認められ、alternatively-spliced SP-B mRNAに一致した。さらに、これら3症例のalternatively-spliced SP-B含有率はそれぞれ64%、82%、78%と著増していることが判明した(基準値は25%以下)。以上の結果から、欧米での代表的SP-B遺伝子変異とされる121ins2は検索し得た全例において陰性であり、わが国におけるCAPの病因としての可能性は極めて低いことが推定された。また今回CAP発症にSP-B遺伝子のスプライシング異常が関与している可能性が示唆された。 今年度はさらにCLDの発症過程の気道吸引液中の抗インターロイキン8(IL-8)自己抗体を測定した。生後48時間以内の検体では抗IL-8IgM抗体濃度はCLDIII型においてCLD I、II型あるいはV型に比して高値であった。生後48時間以後、日齢10までの検体でもCLDIII型における抗IL-8IgM抗体濃度は有意に上昇していた。気道内に存在する抗IL-8抗体はIL-8作用を中和していると思われる。また他家からの報告では、抗体と結合したIL-8は肺胞マクロファージによって処理されるが、遊離IL-8は肺胞マクロファージの処理を受けないとされていることから、気道内に存在する抗IL-8坑体は肺からのIL-8のクリアランスを促進していることも想定された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 高崎二郎, 小川雄之亮: "慢性肺疾患の発症過程における気道吸引液中抗IL-8自己抗体の測定"日本新生児学会雑誌. 36・1. 1-5 (2000)
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[Publications] 清水 浩, 荒川 浩, 李 光薫, 他: "わが国における先天性肺胞蛋白症、先天性SP-B欠損症の患者発生:新生児希有疾患(病態)サーベイランス事業報告"日本未熟児新生児学会雑誌. 15・1. 107-111 (2003)
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[Publications] 荒川 浩, 清水 浩, 小川雄之亮: "高頻度振動換気が幼若家兎肺サーファクタント代謝に及ぼす影響"臨床呼吸生理. 34・2. 111-114 (2002)
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[Publications] Shimizu H, Lee G, Arakawa H, et al.: "Alternatively spliced surfactant protein B mRNA in congenital alveolar proteinosis in Japan"Am J Respir Crit Care Med. 165. A78 (2002)
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[Publications] Obata M, Shimizu H, Ohama Y, et al.: "Altered pulmonary surfactant subtype in a newborn piglet model of meconium aspiration syndrome"Am J Respir Crit Care Med. 165. A79 (2002)