2001 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍由来熱ショック蛋白と腫瘍細胞融合による癌特異的樹状細胞ワクチンの開発
Project/Area Number |
11470247
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
辻谷 俊一 鳥取大学, 医学部, 助教授 (30188544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 亮 鳥取大学, 医学部・付属病院, 助手 (90304211)
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Keywords | 樹状細胞 / 細胞融合 / 腫瘍特異的免疫 |
Research Abstract |
癌抗原に対する免疫機構の認識障害を克服するため、最も有力な抗原提示細胞である樹状細胞(DC)を利用した治療の開発に取り組んだ。すなわち、ヒト末梢血単核球からDCを誘導し、DCの機能解析を行うとともに、癌細胞の免疫回避機構を排除してDCの機能を十分に発揮し、多様な癌抗原のそれぞれに特異的な細胞障害性Tリンパ球(CTL)を誘導できる抗原提示システムを構築し、癌治療へ応用することを目的とした。まず、腫瘍細胞融合DCを作製し、腫瘍抗原特異的なCTLの効率的な誘導をはかった。ヒト末梢血からリンパ球濾過後比重遠心法でDCを分離し、GM-CSF(キリンビール株式会社)とIL-4(小野薬品工業)にて1週間培養してDCを誘導し、Flt-3L、IL-1、IL-2、IL-4、IL-6を含むサイトカインカクテルで1週間培養した。電気的細胞融合遺伝子導入装置を用いて腫瘍細胞とDCを細胞融合させた。原理的には交流高周波の作用により細胞をパールチェーン状にし、その後直流パルズの通電によって細胞膜にporeを開いて細胞を融合させた。顕微鏡観察下で交流から直流パルスに切り替えることにより、細胞の融合効率を最適な条件にまで上げることができる。その結果、アラインメント電圧50V、フュージョンパルス電圧200Vの設定において、融合効率約10%、細胞のviabilityが70%となり、至適条件と考えられた。そこで、この腫瘍細胞融合DCの細胞表面抗原を解析し、リンパ球との混合培養により誘導されるエフェクターT細胞の細胞障害活性を検討したところ、臨床的にも有望な抗腫瘍活性を示すTリンパ球が出現しも現在、癌の免疫回避機構在排除することにより、DCとエフェクター細胞の機能を亢進させ、腫瘍特異的な抗腫瘍効果を増加させるため、IL-10、VEGF、TGFβなどの細胞性免疫抑制に関わるサイトカインの影響を調べている。
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