2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体肝移植後・免疫抑制剤(FK506)減量・離脱症例における免疫機構の解明
Project/Area Number |
11470258
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
江川 裕人 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40293865)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上本 伸二 三重大学, 医学部, 教授 (40252449)
猪股 裕紀洋 熊本大学, 医学部, 教授 (50193628)
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
木内 哲也 名古屋大学, 医学研究科, 教授 (40303820)
|
Keywords | 生体肝移植 / 免疫寛容 / 免疫抑制剤 / 液性因子 / 細胞性因子 / reguratory Tcell / 計画的離脱 |
Research Abstract |
昨年度まで免疫寛容状態にある患者のリンパ球においてドナー特異的低反応がみられること、さらにその血清に非特異的免疫抑制効果があることからヒトのおける免疫抑制物質を同定しようと試みたが未だ成功していない。このように免疫抑制効果を起こす液性因子に着目してきたが、平成14年度は、細胞因子に注目し、英国オツクスフォード大学のWoodらがラット移植モデルで明らかにした免疫抑制効果を持つreguratory Tcellのヒトでの存在・役割を当科の症例において検討した。regulatory cellについては、ラットのレベルで報告されているCD4+/CD25+細胞を、当科の免疫寛容の患者を対象に検討した。FACSの解析では、age matchedの健常人に比べ、CD4+/CD25+細胞は増加しており、in vitroでの機能評価を今後行う予定である。また、熊本大学小川らにより、ラット免疫寛容肝移植モデルにおいて、gamma/delta TCRを有するT細胞のうち特に小腸に存在するintraepithelial lymphocyte(IEL)と同じタイプのものがグラフト内で、増加し免疫寛容に働いていることが報告された。当科の免疫寛容症例において検討したところ、IELと同じ種類のgamma/delta TCRを有するT細胞が末梢血で増加しており、この種のT細胞がMLRを抑制することをin vitroで確認した。さらに術後一年の免疫抑制剤内服中の患者では、約半数にこの現象が見られたことから、これらの症例が免疫寛容の成立する候補者になりうるのではないかと考えprospectiveに研究を進めている。 一方、臨床における計画的離脱症例は昨年度末19例から今年度末25例に増加した。今後、液性因子・細胞性因子の研究の結果を基に免疫抑制減量のパラメーターを確立し、さらには免疫寛容の機構解明を目指す。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] M Shimamura: "Roles Of The Jejunum And Ileum In The First-pass Effect As Absorptive Barriers For Orally Administered Tacrolimus"Journal Of Surgical Research. 103(2). 215-222 (2002)
-
[Publications] T Matsukura: "Significance Of Serial Real-Time Pcr Monitoring Of Ebv Genome Load In Living Donor Liver Transplantation"Clinical Transplantation. 16. 107-112 (2002)
-
[Publications] Tetsuya Kiuchi: "Living Donor Liver Transplantation In Kyoto, 2001"Clinical Transplats 2001. Chapter 18. 195-201 (2002)
-
[Publications] Koichi Tanaka: "Living-donor Liver Transplantation In The New Decade : Perspective From The Twentieth To The Twenty-First Century"Journal Of Hepatobiriary Pancreat Surg. 9. 218-222 (2002)
-
[Publications] Maki Goto: "C3435T Polymorphism In The Mdr1 Gene Affects The Enterocyte Expression Level Of Cyp3a4 Rather Than Pgp In Recipients Of Living-Donor Liver Transplantation"Parmacogenetics. 12. 451-457 (2002)
-
[Publications] 尾池文隆: "生体肝移植における臨床的免疫寛容"今日の移植. 15(4). 358-361 (2002)
-
[Publications] 上田幹子, 田中紘一: "肝移植の長期予後"小児科. 43(11). 1652-1656 (2002)
-
[Publications] 上田幹子, 田中紘一: "小児科学 第2版 肝移植"医学書院. 189-191 (2002)