1999 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性神経細胞傷害におけるグルタミン酸放出機構の解明
Project/Area Number |
11470283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桐野 高明 東京大学, 医学部・付属病院, 教授 (90126045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 謙介 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70260924)
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Keywords | 脳虚血 / グルタミン酸トランスポーター / ノックアウトマウス / 砂ネズミ / 遅発性神経細胞死 / GLT-1 |
Research Abstract |
細胞外グルタミン酸濃度の上昇・グルタミン酸受容体の活性化は虚血性細胞死の上流過程として重要な役割を担っていると考えているが、その更に上流のステップである虚血性グルタミン酸放出の機構はいまだに不明である。本研究では,虚血時の細胞外グルタミン酸濃度の異常上昇は,グルタミン酸トランスポーターの逆転による、という仮設に立脚し、拮抗薬やアンチセンスオリゴヌクレオチド投与、さらにノックアウトマウスの使用によりグルタミン酸トランスポーターを阻害した状態で細胞外グルタミン酸濃度や虚血性神経細胞死の変化を評価することによりこの仮説を検証し、虚血性グルタミン酸放出におけるin vivoでのグルタミン酸トランスポーターの役割を明らかにすることを目的とする。平成11年度はin vivoでのグルタミン酸トランスポーターの阻害モデルとして以下の実験を行った。 (a)アンチセンスオリゴヌクレオチドの脳室内投与 Rothstein et al.(Neuron 1996)の方法に基づいて、osmotic minipumpを用いてantisense oligonucleotideの脳室内に投与し報告通り体重減少を認めたが、immunoblotting法ではトランスポーター蛋白の減少は確認されなかった。 脳室内投与ではoligonucleotideの取り込みが充分でない可能性がある。 (b)トランスポーター阻害薬の脳内微小透析法による潅流投与 砂ネズミ海馬海馬にグルタミン酸トランスポーター阻害薬であるグルタミン酸アナログ(tPDCなど)を脳内微小透析法により前投与し、一過性全納虚血を加える実験が進行中である。細胞外グルタミン酸濃度の測定には、HPLCを用いてグルタミン酸とtPDCを分解測定する系を確立した。 (c)グルタミン酸トランスポーターノックアウトマウスの準備 グルタミン酸トランスポーターGLT-1ノックアウトマウス(Tanaka et al.Science 1997)はそのヘテロ型マウスを作成者の国立精神神経センターより供与された。現在、このマウスを元に交配・繁殖が進行中である。マウスのgenotyping系を確立した。homoマウスは痙攣発作により早期に志望するので、バルプロ酸を投与して飼育している。 平成12年度は、(b)を進めるとともに、(c)ののマウスを用い局所脳虚血モデルにおける脳梗塞体積を測定を行ってゆく。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Asai A,Qiu JH,Narita Y,Chi S,Saito N,Shinoura N,Hamada H,Kuchino Y,Kirino T: "High level calcineurin activity predisposes neuronal cells to apoptosis"J Biol Chem. 274. 34450-34458 (1999)
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[Publications] Ide T,Takada K,Qiu JH,Saito N,Kawahara N,Asai A,Kirino T: "Ubiquitin stress response in postischemic hippocampal neurons under nontolerant and tolerant conditions"J Cereb Blood Flow Metab. 19. 750-756 (1999)
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[Publications] Kawahara N,Mishima K,Higashiyama S,Taniguchi N,Tamura A,Kirino: "The gene for heparin-binding epidermal growth factor-like growth factor stress-inducible : its role in cerebral ischemia"J Cereb Blood Flow Metab. 19. 307-320 (1999)
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[Publications] 桐野 高明: "脳血管障害の分子生物学"脳神経外科. 27. 111-118 (1999)
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[Publications] Kawai K,Kawahara N,Saito N,Nakatomi H,Ichi S,Kirino T: "Effect of selective blocker of Ca^<2+>-permeable AMPA receptor in gerbil forebrain ischemia : In vivo verification of GluR2 hypothesis in delayed neuronal death of CA1 neurons"J Cereb Blood Flow Metab. 19(Suppl 1). S458 (1999)
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[Publications] 川合 謙介: "虚血性脳障害におけるグルタミン酸トランスポーターの役割に関する実験的研究"臨床成人病. 29. 1376-1377 (1999)