1999 Fiscal Year Annual Research Report
側頭葉てんかんにおける定位的放射線治療による海馬扁桃体破壊に伴う高次脳機能の変化
Project/Area Number |
11470284
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊田 富勝 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (00251257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辛 正廣 東京大学, 医学部・附属病院, 教務職員 (70302726)
川合 謙介 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70260924)
杉下 守弘 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10114513)
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Keywords | 側頭葉てんかん / ガンマナイフ / 高次脳機能検査 / functional MRI |
Research Abstract |
7例の側頭葉てんかん患者の高次脳機能検査(言語性記憶テスト、非言語性記憶テスト、記憶テスト、失語症テスト、知能テスト)を行うとともにfunctional MRIを施行し、言語優位半球の道程をおこなった。また頭皮脳波、ictal SPECT、PETを施行してんかん焦点の同定を行った。このうち3例の側頭葉てんかんの患者にガンマナイフを施行した。ガンマナイフの中心線量は50Gy、周辺線量は25Gyで行った。3例とも成人例のため、術前にウェクスラー成人用知能検査改訂版(WAIS-R)とウェクスラー記憶検査改訂版(WMS-R)を施行し、術前状態を把握した。3例中の2例についてはfunctional MRIによる言語優位半球の同定の検査を施行し、1例についてはAmytal Testによって言語優位半球の同定の検査を施行した。術後の高次機能については、3例中2例は記憶の優位な低下を認めず、1例は著明な近時記憶の低下を生じていることを3例とも脳研式記銘力検査で確かめ、近時記憶の低下を生じている症例は特に綿密に経過観察中である。術前後で眼科的視力・視野検査は有意な変化を認めなかった。ガンマナイフ照射後、頭皮脳波上は3例中2例で有意な棘波の消失を認めた。近時記憶の低下を認めている1例はこの脳波上有意な棘波の減少を認めた。発作の頻度は脳波所見に一致して、2例でほとんど発作を認めず、1例で発作の頻度が術前の1/4まで低下を認めた。MRI上術後10か月程度の時期より照射部位とその周辺のT2-強調画像での高信号化を認め、特に近時記憶の低下を生じている症例は著明に認めている。このMRI変化は今後綿密な経過観察を計画中である。 以上少数例ではあるが定位的放射線照射(ガンマナイフ)による側頭葉てんかんの治療の有効性および安全性について期待できる結果となった。
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Research Products
(1 results)