1999 Fiscal Year Annual Research Report
慢性脳循環不全で生じる脳室拡大と特発生水頭症との病態としての関連性の検討
Project/Area Number |
11470292
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
美馬 達夫 高知医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (30192363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河原 重雄 自治医科大学, 医学部, 教授 (60049088)
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Keywords | 慢性脳血流低下 / 砂ネズミ / Fluorescent Granular Perithelial Cell / Virchow Robin腔 / 正常圧水頭症 / 脳脊髄液循環 |
Research Abstract |
脳実質に分布する細動静脈は一層の内皮細胞とその外側に位置するl〜2層の血管平滑筋細胞からなり、同領域において脳脊髄液が貯留するVirchow Robin腔には、中枢神経系に特異なマクロファージ系細胞である蛍光性顆粒周囲細胞(Fluorescent Granular Perithelial Cell:FGP Cell)が常在し、同細胞は血管腔側からの、あるいは神経組織側からの余剰物質を処理し、血管壁・神経組織の恒常性維持に関与している細胞で、脳脊髄液が微小血管を介して吸収されるminor pathwayにおける重要な役割を果たしている可能性が示唆されている。慢性脳血流低下動物モデルとして、砂ネズミの総頚動脈にコイル状クリップを装着し、血管径を狭窄させ、脳血流量を長期にわたり70-80%に低下させ、上述のFGP Cellと、この細胞が付属する脳微小血管の形態学的変化を検討した。両側総頚動脈を狭窄し8〜9週後には、第三脳室と側脳室の拡大が認められるとともに大脳白質の粗鬆化、海馬の歯状回・CA1領域に神経細胞の変性が観察された。大脳皮質、海馬等に分布する細動脈・細静脈を観察すると、血管腔は狭小化を示し、血管壁を構成する内皮細胞には飲小胞の増加が、平滑筋細胞の変性像が認められた。血管周囲隙に存在するFGP細胞の細胞内顆粒の電子密度は著しく低下し、また相互に癒合していた。慢性的な脳血流低下は血管壁構築を変化させ、FGP細胞に機能障害がもたらしていること、また、星状膠細胞のグリア限界膜が不鮮明となっていることなどから、慢性脳血流低下の病態において脳脊髄液の循環障害が同時に生じていることが強く示唆された。
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