2000 Fiscal Year Annual Research Report
インマリン受容体基質(IRS)を介するシグナルの骨代謝調節機構の解明-IRS-1および-2ノックアウトマウスを用いた検討-
Project/Area Number |
11470301
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東 成一 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70313137)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸辺 一之 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30251242)
中村 耕三 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60126133)
川口 浩 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40282660)
小林 篤樹 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
河野 慎次郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
|
Keywords | インスリン / 骨 / IGF / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / IRS |
Research Abstract |
IGF-Iおよびインスリンは骨組織における重要な同化因子で、両者の受容体キナーゼ共通の基質であるインスリン受容体基質(IRS-1,IRS-2)はこれらの細胞内情報伝達に必須の分子である。IRS-1についてはその欠損マウスの検討により、我々はIRS-1が骨代謝回転の維持に必須であることを既に報告した(J Clin Invest 105:935-943,2000)が、本年度はIRS-2欠損マウスの解析により、IRS-2の骨代謝調節機構における役割を検討した。IRS-2欠損(-/-)マウスの骨密度は、野生型(+/+)に比べて皮質骨・海綿骨とも有意に低下していた。骨組織形態計測では、破骨細胞数と骨吸収窩は高値を示し、骨芽細胞数もこれに応じて増加していた。しかし個々の骨芽細胞機能は抑制されていた。各マウス頭蓋骨由来骨芽細胞(POB)、骨髄由来M-CSF依存性骨髄マクロファージ(B-MMφ)、POBと骨髄細胞の共存培養から単離精製した成熟破骨細胞(OCL)を用いて検討した。-/-POB培養系では増殖能は+/+と同程度であったが、分化能・基質合成能が著明に低下していた。RANKL存在下でのB-MMφからのOCL形成・象牙片上吸収窩、および単離OCLの生存率は+/+と-/-間で差がなかったため、破骨細胞系細胞にはIRS-2シグナルは重要でないと考えられた。POBと造血系細胞(骨髄または脾細胞)の共存培養系では、造血系細胞の由来に関わらずPOBが-/-由来の場合に限りOCL形成および吸収窩形成が著明に亢進しており、-/-POBのRANKLの発現は+/+よりも強かった。以上より、骨芽細胞におけるIRS-2は骨芽細胞の機能促進に作用する一方、RANKL発現を抑制することにより、骨の形成と骨量の維持に関与している分子と考えられた。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Naoshi Ogata, et al.: "Insulin receptor substrate-1 in osteoblast is indispensable for maintaining bone turnover."J.Clin,Invest.. 105. 935-943 (2000)
-
[Publications] Toru Akune, et al.: "Insulin secretory response is positively associated with the extent of the ossification of the posterior longitudinal ligoi of the spice"J.Bone Joint Surg. (Am). (in press).
-
[Publications] 川口浩: "インスリン受容体基質-1ノックアウトマウスの解析"クリニシアン. 490. 413-416 (2000)
-
[Publications] 緒方直史,川口浩: "IRS-1遺伝子欠損マウスの骨代謝"The Bone. (in press).
-
[Publications] 川口浩: "インスリン/IGF情報伝達系による骨代謝の制御"松本俊夫 編/メディカルレビュー社(in press).