2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11470302
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Research Institution | The Univ.of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 剛志 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20322761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 栄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50282661)
平岡 久忠 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10262007)
福田 明 東京大学, 医学部・附属病院分院, 医員 (90302695)
中村 耕三 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60126133)
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Keywords | 抗TGF-β抗体 / デコリン / 拘縮 |
Research Abstract |
成長因子は生体において組織の修復課程だけでなく、種々の病的状態の進展にも大きく関与していることが知られてきた。整形外科領域でも腱の癒着や肩関節周囲炎、Dupuytren拘縮などにおいて成長因子が中心的な働きをしていることが示唆されている。我々は関節内癒着モデルにおいて、外傷性癒着の形成に主要な成長因子の一つであるTGF-betaが重要な役割を果たしており、その活性を抑制する事で癒着の形成を阻害しうる可能性を探るために、まず、以下の実験(実験1)を行った。ウサギ大腿骨顆部の骨皮質を10mm×5mmに開窓した関節内癒着モデルに対して、浸透圧ポンプを用いて抗TGF-betaモノクローナル抗体を局所に投与し、4週間関節固定後にX-Pによる伸展制限評価、癒着部位の肉眼所見、組織学的所見を評価した。その結果、抗TGF-beta抗体を投与した群ではsham ope群やcarrior vehicleのみを投与した対照群と比べて有意に拘縮角度が小さく抑制されていることが判明した。一方、プロテオグリカンの一種であるデコリンは、TGF-betaと結合してその活性を低下させることが知られている。これらのことから、外傷性癒着形成過程でデコリンを投与すれば癒着形成が軽減されることが期待できる。そこで同様の関節内癒着モデルにデコリンを投与することで外傷性癒着が実際に阻害しうるのかを知る目的で、以下の実験(実験2)を行った。すなわち、実験1と同じプロトコールにてウシ関節軟骨由来のデコリン10,50,250μg/mlをPBSに溶解、持続投与した。4週間の関節固定後、デコリンを投与した3群では非投与のcontrol群と比べて有意に関節拘縮角度は小さく、またデコリン投与量に応じて程度が軽減することもわかった。以上から、抗TGF-beta抗体やデコリンを持続的に投与することで外傷後の関節癒着の形成抑制ができる可能性があると結論した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Fukui,H.Hiradoa, et al: "Adhesion Formation can be Reduced by Suppression of Transtorming Growth Factor-β1 Activity"Journal of Orthopaedic Research. 18. 212-219 (2000)
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[Publications] 福井尚志,福田明,中村耕三 他: "デコリン投与による関節内癒着の形成抑制に関する実験"東京膝関節学会誌. 20. 109-112 (1999)