1999 Fiscal Year Annual Research Report
損傷脊髄における脊髄循環障害の病態ならびに本能的治療法開発に関する研究
Project/Area Number |
11470311
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
井形 高明 徳島大学, 医学部, 教授 (80108860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中屋 豊 徳島大学, 医学部, 教授 (50136222)
板倉 光夫 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 教授 (60134227)
玉置 俊晃 徳島大学, 医学部, 教授 (80179879)
加藤 真介 徳島大学, 医学部, 助教授 (30243687)
福澤 健治 徳島大学, 薬学部, 教授 (90035551)
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Keywords | 脊髄損傷 / 酸化ストレス / ステロイド / SOD / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
脊髄損傷に対する本能的治療には、神経移植が必要と考えられているが、その際にはその手術操作による二次的脊髄障害の予防と共に、神経栄養因子の誘導が不可欠である。二次的障害防止のために使用されているmethylpredonisolone(MPSS)は、酸化ストレスに対して有効であるとされている。そこでMPSSの効果を、同様の作用が期待できるレシチン化superoxide dismutase(PC-SOD)の作用と、運動機能、抗酸化作用、向炎症物質mRNA発現で比較検討した。その結果、運動機能はPC-SOD単独投与がMPSS単独投与、MPSSとPC-SOD併用に比べて良好であった。これに対し、過酸化脂質の産生、向炎症物質の発現は、併用療法により最も強く抑制され、MPSS単独がこれに続くにもかかわらず、運動機能の回復とは相関しなかった。 この不一致の原因を探る目的で、神経栄養因子の一つであるneurotrophin-3(NT-3)mRNA発現の薬物投与による影響を研究した。その結果、NT-3mRNAの発現は脊髄損傷後増加し、48時間でピークに達することを明らかになり、さらにMPSSはこの発現に抑制的に働き、PC-SOD投与により促進されることが分かった。正常脊髄内へのPC-SODのmicroinjectionでは、神経栄養因子の発現は増強されなかったことより、PC-SODの効果は、直接的な誘導作用ではないことが明らかになった。 本態的治療法の開発を期して、損傷脊髄へのOlfactory ensheathing cell移植の神経栄養因子発現に及ぼす影響を検討すると、NT-3mRNA発現が、特異的に増加することも明らかになった。
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[Publications] 千川隆志 他: "ラット脊髄損傷に対するメティルプレドニソロンとレシチン化SODの投与効果の検討"日本整形外科学会雑誌. 73巻. 1660 (1999)
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[Publications] 加藤真介 他: "急性脊髄損傷におけるステロイドの作用機序-レシチン化スパーオキシド不均化酵素(PC-SOD)との比較-"日獨医報. (印刷中). (1999)
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[Publications] 千川隆志 他: "ラット急性脊髄損傷後のNeurotrophin-3の発現動態と抗酸化剤の効果"日本パラプレジア医学会誌. (印刷中). (1999)