2000 Fiscal Year Annual Research Report
不動・非荷重による骨量減少における骨動態の変化と骨髄細胞の分化異常の解明
Project/Area Number |
11470315
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
酒井 昭典 産業医科大学, 医学部, 講師 (90248576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴上 浩 産業医科大学, 医学部, 講師 (70299618)
中村 利孝 産業医科大学, 医学部, 教授 (50082235)
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Keywords | 非荷重 / 骨髄細胞 / 骨芽細胞 / p53 / p21 / 尾部懸垂 / ノックアウトマウス / 遺伝子 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、p53の、非荷重時における骨髄基質細胞から骨芽細胞および骨細胞の分化過程に及ぼす効果を、組織と細胞レベルで明らかにすることである。8週齢の雄性、p53ノックアウトマウス(-/-)で非荷重実験を行い、wild typeマウス(+/+)と比較した。スタート時と非荷重後1週で屠殺し、脛骨を採取した。 脛骨近位二次海綿骨で骨形態計測を行った。海綿骨量は、p53(+/+)では、非荷重後1週でスタート時の45%に有意に低下した。(-/-)では、非荷重後1週で減少しなかった。骨形成率は、p53(+/+)では、非荷重後1週で有意に低下するのに対して、(-/-)では、減少しなかった。脛骨から骨髄細胞を採取し、細胞培養を行った。ALP陽性CFU-f及びosteogenic noduleの形成は、p53(+/+)では、尾部懸垂後1週で有意に低下するのに対して、(-/-)では、低下しなかった。^3H-thymidineの細胞への取り込みは、荷重状態にかかわらず、p53(-/-)はp53(+/+)に比して有意に高値であった。定量的RT-PCRでは、p53(+/+)では、非荷重1週でp53およびその下流のp21のmRNAの発現が亢進していた。(-/-)では、p53とp21のmRNAの発現は認められなかった。 結論:1)非荷重により骨髄細胞内ではp53、p21のシグナルの亢進が生じる。2)p53遺伝子をノックアウトすることにより、非荷重による骨量減少が緩和された。 非荷重による骨量減少には、p53遺伝子シグナルを介した骨芽細胞の分化異常が関係している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Nakamura,A.Sakai, et al.: "Recovery of bone mass, trabecular bone turnover and marrow cell development in mice tibia by reloading after tail-suspension."Journal of Musculoskeletal and Neuronal Interactions. 1・1. 73 (2000)
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[Publications] 酒井昭典: "不動による関節軟骨変性"整形外科. 51・10. 1328-1329 (2000)
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[Publications] 酒井昭典: "不動性骨粗鬆症の病態"骨・関節・靭帯. 13・7. 607-614 (2000)