2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11470316
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西野 卓 千葉大学, 医学部, 教授 (80009703)
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Keywords | 周術期管理 / 嚥下反射 / 呼吸困難 |
Research Abstract |
本年度は周術期患者に関する幾つかの問題を臨床的および基礎的に追求した。 1)昨年度からの継続課題である嚥下反射と呼吸の協調性を肺容量の変化の影響の面から検討した。この研究では11名の健康被験者の肺容量を胸壁に陰圧を加えることによって変化させ、同時に咽頭内に持続的な蒸留水注入を行って嚥下反射を誘発させ嚥下と呼吸の協調性について詳細な分析を行った。この研究によって、肺容量の増加は嚥下反射の潜時を延長し、嚥下回数の低下をもたらすことが明らかとなった。さらに、通常主に呼気相に生じる嚥下反射が肺容量の増加によって嚥下と呼吸位相との特異な関係が失われた。これらの研究結果は肺容量の変化が生じる慢性呼吸不全患者の嚥下機能を評価する際に重要な情報の一つとなる。 2)吸入フロセミドが反応性気管支収縮作用を抑制することが報告されており、その機序として迷走神経活動の変化が示唆されている。迷走神経活動は呼吸困難感の発生とも関連しており、これより吸入フロセミドが呼吸困難感を修飾する可能性がある。そこで、吸入フロセミドの呼吸困難感に及ぼす影響をヒトで実験的に作成した呼吸困難状態下で検討した。さらにその機序を明らかにする目的でラットの肺伸展受容器および肺侵害受容器活動に対する吸入フロセミドの影響を検討した。その結果、吸入フロセミドはヒトにおける呼吸困難感を緩和すること、ラットの肺伸展受容器活動を増強し、肺侵害受容器活動を抑制することが明らかとなった。これらの実験事実より、吸入フロセミドの呼吸困難感緩和作用に迷走神経求心路からの情報が重要な役割を果たすことが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] NISHINO,T.: "Physiological and pathophysiological implications of upper airway reflexes in humans."Jpn J Physiol,. 50. 3-14 (2000)
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[Publications] NISHINO,T.: "Inhaled furosemide greatly alleviates the sensation of experimentally-induced dyspnea."Am J Respir Crit Care Med. 161. 1963-1967 (2000)
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[Publications] SUDO,T.: "Responses of tracheobronchial receptors to inhaled furosemide in anesthetized rats."Am J Respir Crit Care Med,. 162. 971-975 (2000)
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[Publications] KIJIMA,M.: "Modulation of swallowing reflex by lung volume changes."Am J Respir Crit Care Med. 162. 855-858 (2000)
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[Publications] 西野卓: "呼吸中枢と呼吸感覚"日本臨床麻酔学会誌. 20. 12-20 (2000)