1999 Fiscal Year Annual Research Report
腎発生過程における組織間(尿管芽―後腎)相互作用の研究
Project/Area Number |
11470336
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
賀本 敏行 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00281098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺井 章人 京都大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50243019)
日合 弘 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10073131)
小川 修 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90260611)
中村 英二郎 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90293878)
諸井 誠司 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50314191)
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Keywords | 腎発生 / 疾患モデル / 器官培養 / 尿管芽 / 後腎 / 上皮―間質相互作用 / FUBI |
Research Abstract |
FUBI(failure of ureteral bud invasion)マウス 先天的に腎形成不全をみるFUBI系と健常腎をもつ近交系マウスNFS系との退交配世代で、表現型の染色体多型との連鎖解析により責任遺伝子の一つがマッピングされている(MMU2と命名)、MMU2に関してNFS系統との間でコンジェニックマウスを作製した。すなわち連鎖のみられる遺伝子座の近傍にある、microsatellite lociのpolymorphysmをマーカーとし、FUBI由来の遺伝子を背景とし、MMU2上の一部分にNFS由来の遺伝子をホモに持つ系統と、NFSを背景とし、MMU2上の一部分にFUBI由来の遺伝子をホモに持つ系統の二系を作成した。このうち後者に関しては、腎形成不全のマウスは皆無であったが、前者について、FUBI系との間に有意な表現型発生頻度の差が見られた。FUBI系では、約半数(321/650)のマウスにおいて腎形成不全がみられたが、MMU2の一部分のみホモにNFS alleleと置き換えると腎形成不全の発現頻度は2.5%(5/204)と減少し、ヘテロにFUBIとNFS alleleを持つものでは17%(7/41)とその中間の頻度で出現した。以上のことからFUBI系の腎形成不全の原因遺伝子のうち重大なもののひとつがこの染色体に存在することが確認された。 マウス胎仔11.5日目からの腎原器の培養においてFUBIでは正常に発生し得ないものがみられ、organ cultureにおいても尿管芽の発育異常が観察された、Institute of Biotechnology, Helsinki Universityを訪問し、技術的なアドバイスを得ることができたが、手技の改良の後も発育異常は認められ、この発育異常はFUBI系に有意な事象であると確認された。また尿管芽および脊髄を用いた後腎の分化誘導実験では、後腎組織は潜在的に分化能を持つが、尿管芽の分化誘導能がないことが観察されている。 既知の遺伝子発現をみるために、NFSとFUBI胎仔11.5日と12.5日における腎原器をmicrodissectionにてRNAを抽出。PAX2、WT1、Wnt4、HS2ST、cRET、GDNF、Integrinα8、についてβアクチンを内部コントロールとしてRT-PCRを試みた。現在のところNFS系とFUBI系との間で発現に有意な差は確認できなかった。この検討では採取組織をさらに詳細に検討することと、organ cultureに対象を広げることで続行する予定である。また胎仔とorgan culture標本のWhole mount in situ hybridizationによっても検討を開始している。 未知の遺伝子の検討のため、胎仔11.5日の左右の腎での発現遺伝子の差を蛍光Differenntial Display法により検討を行い、発現に差のある可能性を持ったcDNAからのPCR産物の抽出を開始している。これらのサブクローニングとシークエンス決定を順次並行して行っている。
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