2000 Fiscal Year Annual Research Report
精巣腫瘍の遺伝子異常と、分化誘導に伴う遺伝子発現の変化の研究
Project/Area Number |
11470341
|
Research Institution | KYOTO PREFECTURAL UNIVERSITY OF MEDICINE |
Principal Investigator |
三木 恒治 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (10243239)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野々村 祝夫 大阪大学, 医学部, 講師 (30263263)
中尾 昌宏 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (00188880)
酒井 敏行 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20186993)
水谷 陽一 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (10243031)
|
Keywords | 精巣腫瘍 / 分化誘導 / アポトーシス / Embryonal carcinoma / Teratoma / 化学療法 / イリノテカン / シスプラチン |
Research Abstract |
以前我々は、ヌードマウス移植可ヒト精巣腫瘍株(Embryonal Carcinoma):TTSC-3を樹立した。今回、その細胞株をヌードマウスに移植し、シスプラチンを投与し、TTSC-3の分化誘導とそれに伴う遺伝子発現の変化を検討した。シスプラチンの投与量が1mg/kg/weekのような低容量では抗腫瘍効果は認められなかったが、5mg/kg/weekのような高容量では著名な抗腫瘍効果が認められた。3mg/kg/Weekと中等度の濃度を用いると、腫瘍の大きさはほとんど変化せず、投与10週目には病理組織学的には軟骨、Teratomaが認められ、細胞分化が誘導されているのが証明された。cDNAアレイを用いてその際の遺伝子変化を検討したところ、Tumor necrosis factor receptor 1、Caspase8、Apaf1の遺伝子発現の増強が観察された。これらの3種の遺伝子はアポトーシス誘導に関わる遺伝子であり、本実験モデルにおいて、何らかの細胞でのアポトーシス誘導が精巣腫瘍の分化誘導に関与している可能性が示唆された。 精巣腫瘍に対する化学療法の奏効率を向上させるため、新規抗癌剤であるIrinotecanを用いて、難治性精巣腫瘍に対してSalvage Chemotherapyを行った。今回、18人の難治性精巣腫瘍患者にIrinotecanとNadaplatinまたはIrinotecanとCisplatinとのCombination ChemotherapyをSalvage Chemotherapyとして施行した。結果は、CR:5例、PR:5例で奏効率は約56%であった。また、5年生存率は55%であった。副作用としては骨髄抑制が主なものであったが、G-CSF、血小板輸血などで十分対処することが可能であった。以上の結果から、難治性精巣腫瘍に対するSalvage Chemotherapyとして、IrinotecanとNadaplatinまたはIrinotecanとCisplatinとのCombination Chemotherapyが有効である可能性が示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Miki,T., et al.: "Prostate-specific transcription factor…"Cancer Research. 60. 1348-1352 (2000)
-
[Publications] Miki,T., et al.: "Characterization of the promotor…"Biochem.Biophys.Res.Comm.. 279. 251-257 (2000)
-
[Publications] Miki,T., et al.: "Low doses of oral dexamethasone …"Cancer. 89. 2570-2576 (2000)
-
[Publications] Miki,T., et al.: "Cause of nocturnal urinary …"The Journal of Urology. 163. 61-64 (2000)
-
[Publications] 三木恒治 ほか: "難治性精巣腫瘍の救済化学療法"癌と化学療法. 27. 542-547 (2000)
-
[Publications] 三木恒治,中尾昌宏: "精巣腫瘍治療の現状と問題点"泌尿器外科. 13. 1265-1271 (2000)