2000 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌のアポトーシス抑制機序の解析に基づく新しい遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
11470347
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Research Institution | SHINSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小西 郁生 信州大学, 医学部, 教授 (90192062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
万代 昌紀 京都大学, 医学研究科, 助手 (80283597)
土岐 利彦 信州大学, 医学部, 助教授 (20175475)
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Keywords | 卵巣癌 / アポトーシス / 遺伝子治療 / アデノウイルス / ゴナドトロピン / IGF-1 / p53 / Bax |
Research Abstract |
本研究の目的は、卵巣癌細胞における外因性および内因性のアポトーシス抑制シグナルを解明し、これを解除するような新しい遺伝子治療を開発することにある。外因性機序として卵巣癌発生に重要な役割を果たすゴナドトロピンに着目した。卵巣癌細胞およびその組織発生起源である卵巣表層上皮細胞はゴナドトロピンであるLH/hCGの受容体を発現し、hCGはinsulin-like growth factor-1(IGF-1)の発現亢進を誘導し、このIGF-1がシスプラチンによるアポトーシスを抑制することが明らかとなった。そこで、IGF-1アンチセンスRNA発現アデノウイルスを作成し、これをin vitroで添加するとhCGによるアポトーシス抑制を解除することができ、シスプラチン感受性が回復した。次に、内因性機序として、卵巣癌の半数に存在するp53遺伝子異常とp53の下流のアポトーシス促進因子Bax発現をみると、p53異常がBax発現の異常をきたし、シスプラチン抵抗性をもたらしていることが明らかとなった。そこで、Bax発現アデノウイルスを開発し、これをin vitro、in vivoで用いたところ、Bax発現およびアポトーシスを誘導することができ、シスプラチン耐性の卵巣癌細胞にも有効であった。また、Bax発現アデノウイルスはシスプラチンとの併用により相加効果が認められた。以上より、アポトーシス抑制に関与する遺伝子を標的とした遺伝子治療は制癌剤耐性の卵巣癌細胞に有効であることが示され、臨床応用の可能性が展望される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tsuruta,Y., et al : "Combination effect of pro-apoptotic Bax gene transfer"European Journal of Cancer. (印刷中). (2001)
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[Publications] Kuroda,H., et al.: "Human ovarian surface epithelial (OSE) cells express"International Journal of Cancer. 92. 309-315 (2001)
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[Publications] Horiuchi,A., et al.: "Enhancement of antitumor effect of bleomycin"International Journal of Cancer. 88. 640-644 (2000)
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[Publications] Shimizu,M., et al: "Immunohistochemical detection of the Wilms'tumor gene"International Journal of Gynecdogical Pathology. 19. 158-163 (2000)
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[Publications] Konishi,I., et al: "Review : Gonadotropins and development of ovarian cancer"Oncology. 57. 45-48 (1999)
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[Publications] 万代昌紀: "卵巣癌細胞のアポトーシス抑制に関与する遺伝子群を標的"日本産科婦人科学会雑誌. 51. 575-585 (1999)