2000 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子欠損マウスとホメオボックス・分子モーター遺伝子解析による難聴発症機構の解明
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11470358
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
喜多村 健 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90010470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 潔 自治医科大学, 生物学, 教授 (10161283)
堤 剛 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90302851)
野口 佳裕 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (50282752)
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Keywords | 内耳奇形 / 実験動物 / 遺伝子変異 / 難聴 |
Research Abstract |
マウスの内耳は人の内耳と解剖学的、生理学的に類似しており、遺伝性の内耳疾患を持っているマウスは、聴覚障害の原因究明をはじめとして出生前診断、治療法確立のために重要な生物材料となることが期待されている。今回我々は、新たに遺伝性内耳奇形と想定されるマウスを得ることができたので、その行動異常を観察し難聴をABRで解析した。ホモ接合体は著しい回転運動を呈した。難聴についてはホモ接合体のABRは無反応であったが、ヘテロ接合体にもコントロールに比べ20dBの聴覚閾値の上昇を認めた。このマウスは、C57/C3H系統のLacZをレポーターとしたトランスジェニックマウスとC57の交配より得られたものである。個体の一部は、顔が平たく体躯が小さいという表現型を持った。これらマウスは著しい回転行動を呈し、プライエル反射は陰性で内耳障害が疑われた。難聴の解析は、今回生後6ヶ月のホモ接合体、ヘテロ接合体でABRを行った。ホモ接合体は著しい回転行動を呈した。ABRはホモ接合体では反応を認めず、ヘテロ接合体はコントロールに比べ20から30dB程度の、聴覚閾値の上昇を認めた。 さらに、ホメオボックス遺伝子であるSix遺伝子のなかで、Six4遺伝子のノックアウトマウスを作成し、聴覚、行動異常の有無を検討した。その結果、Six4遺伝子の発現は、otic placodeにみられた。しかし、聴覚は正常で、行動異常もみられず、Six4遺伝子単独の変異は内耳機能に障害を与えないことが判明した。 分子モーター遺伝子変異であるヒトの優性遺伝家系のDFNA11における難聴の進展を検討し、いずれの症例も高音漸傾型の迷路性の難聴を呈し、ミオシン7A遺伝子変異の表現型としては、中等度であった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Ozaki H: "Six4, a putative myogenin gene regulator, is not essential for mouse embryonal development."Mol Cell Biol. (in press). (2001)
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[Publications] Takago H: "A vasoactive agent enhances the effect of ATP on cochlear blood flow. "Acta Otolaryngol (Stockh). (in press). (2001)
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[Publications] Kitamura K: "Deafness Genes."J Med Dent Sci . 47. 1-11 (2000)
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[Publications] Sugimoto T: "Relationship between cystic change and rotatory vertigo in patients with acoustic neuroma."Acta Otolaryngol Suppl. 542. 9-12 (2000)
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[Publications] Kitamura K: "Mutations of the Pendred syndrome gene(PDS)in patients with large vestibular aqueduct."Acta Otolaryngol (Stockh). 120. 137-141 (2000)
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[Publications] Iwasaki S: "Hereditary sensorineural hearing loss of unknown cause involving mitochondrial DNA 1555 mutation."ORL. 62. 100-103 (2000)
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[Publications] Kitamura K (eds): "Genetics in Otorhinolaryngology.Adv Otorhinolaryngology 56"Karger. 297 (2000)
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[Publications] Kitamura K: "Equilibrium in Research and Equilibriometry in Modern Treatment"Elsevier Science B.V.. (1999)