2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11470389
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山田 好秋 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80115089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮岡 洋三 新潟医療福祉大学, 医療技術学部・保健栄養学科, 教授 (10134941)
山村 健介 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90272822)
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Keywords | 嚥下 / 誘発 / 皮質 / 上喉頭神経刺激 / 自然刺激 |
Research Abstract |
嚥下中枢は咀嚼中枢や呼吸中枢、脳幹より上位の中枢と高度な協調関係のもとに、嚥下を遂行している。しかし、今までの実験は麻酔動物を用いた実験がほとんどで、嚥下中枢と上位中枢との相互作用については不明な点が多い。本研究では自由行動下のウサギを用いて、嚥下中枢・咀嚼中枢・上位中枢の相互作用について調べた。 上喉頭神経(SLN)刺激により嚥下を誘発し、咬筋・顎舌骨筋・甲状舌骨筋から筋電図を、磁気システムにて顎運動を記録し、30秒間の嚥下回数と咀嚼回数を測定・比較した。また嚥下周期を閉口相に起こるものと開口相に起こるものに分け、顎運動と甲状舌骨筋発火の時間的関係について検討した。上位中枢と嚥下中枢の相互関係に関しては、丘間除脳を行い同様の実験を行った。 自由行動下の動物においても麻酔動物と同様、SLN刺激により嚥下が誘発できた。この刺激により誘発された嚥下は、顎運動の垂直成分と甲状舌骨筋発火との時間的パターンの比較において、自然嚥下と差が認められないことから、咀嚼時にSLN刺激により誘発された嚥下は食塊により誘発される嚥下のモデルになることが示唆された。 咀嚼時と安静時におけるSLN刺激による嚥下の増加を検討した結果、末梢から嚥下中枢に対する入力は咀嚼中枢の興奮レベルとは関係なく、末梢からの入力と咀嚼中枢からの嚥下中枢に対する入力はそれぞれ独立し、嚥下時には嚥下中枢が咀嚼中枢を制御し、反対に咀嚼中枢は嚥下中枢を制御し嚥下の発生を制御していることが示唆された。この相互関係は嚥下中枢と咀嚼中枢それぞれのリズム発生器間にあると思われる。 除脳後に嚥下頻度が減少したことから、覚醒時では上位中枢は嚥下中枢に対して持続性の興奮性入力を送り、嚥下中枢の興奮性を維持していることが示唆された。この結果は嚥下中枢と上位中枢との間に密接な関係があるという過去の実験結果と一致していた。
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[Publications] Yoshida, N.: "Development of a magnetic sensing device for tooth displacement under orthodontic forces."IEEE Transactions on Biomedical Engineering. 48・3. 354-360 (2001)
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[Publications] Koga, Y.: "Development of a three-dimensional jaw-tracking system implanted in the freely moving mouse."Medical Engineering & Physics. 23. 201-206 (2001)
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[Publications] Inoue, M.: "Changes in jaw reflexes by stimulation of the hypothalamus in anesthetized rabbits."Neuroscience Research. 41. 61-65 (2001)
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[Publications] Naganuma, K.: "Tongue and jaw muscle activities during chewing and swallowing in freely behaving rabbits."Brain Research. 915. 185-194 (2001)
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[Publications] Takagi, M.: "Analysis of swallowing movement using a simple and safe device."J. Jpn. Soc. Stomatognath. Funct.. 8. 25-30 (2001)
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[Publications] Kakizaki, Y.: "Coordination between the masticatory and tongue muscles as seen with different foods in consistency and in reflex activities durng natural chewing."Brain Research. (in press). (2001)
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[Publications] 井上誠: "食品の物性の違いが顎舌協調運動に与える影響"顎機能誌. 7・1. 37-45 (2001)
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[Publications] 北川純一: "咽喉頭の嚥下誘発神経に関する研究"顎機能誌. 7・1. 47-52 (2001)
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[Publications] 宮岡洋三: "口腔内食塊の重量/容量に関する感覚評価-水を用いた実験"日本官能評価学会雑誌. 5・1. 36-41 (2001)
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[Publications] 宮岡里美: "食塊量の増減に伴う嚥下感覚の変化-お茶を用いた実験"日摂食嚥下リハ会誌. 5・1. 25-31 (2001)
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[Publications] 金子裕史: "咽頭連動・舌骨上筋群節電図・嚥下音の同時計測による嚥下機能の評価-お粥の性状の違いによる嚥下動態の変化-"信学技報. 2001-11. 135-142 (2001)
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[Publications] 井上誠: "自由行動下のウサギにおける睡眠時咀嚼筋反射活動の変調"歯科基礎医学会雑誌. 43・4. 353-359 (2001)
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[Publications] 山田好秋(分担執筆): "嚥下リハビリテーションと口腔ケア"メヂカルフレンド社. 232 (2001)
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[Publications] 山田好秋: "摂食・嚥下障害の評価法と食事指導"医歯薬出版. 198 (2001)