2000 Fiscal Year Annual Research Report
難治性根尖性歯周炎の病原因子としての細菌バイオフィルムの解析
Project/Area Number |
11470404
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
恵比須 繁之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50116000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野杁 由一郎 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50218286)
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Keywords | 難治性根尖性歯周炎 / 細菌バイオフィルム / 根尖孔外 / グリコカリックス / Modified Robbins Device / 浮遊系細菌 / 化学療法剤 |
Research Abstract |
難治性根尖性歯周炎罹患歯より採取した抜去歯,過剰根管充填材あるいは根尖部歯牙断片を微細形態学的に検索し以下の知見を得た。微細形態学的検索に供した11試料中9試料の根尖病巣内の根尖孔外部歯面および根管充填材表面には,glycocalyx様構造物に被覆された細菌バイオフィルムが観察された。バイオフィルム構成細菌の形態型は糸状菌とラセン状菌が優位であり,いくつかの部位では,浮遊細胞と推察される細菌菌体のフィルム内からの遊出がみられた。次いで,Modified Robbins device(以下MRD)を用いてPorphyromonas gingivalisバイオフィルムを形成し,その生物学的活性をATP測定法により測定して浮遊系細菌と比較検討するとともに,その実態を形態学的に検索した。浮遊系細菌における対数増殖期のATP量の変化率は13.88nmol/hであるのに対し,成熟したバイオフィルムが観察された14日目以降のATP量の変化率は5.05X10^<-2>pmol/hとバイオフィルム中のP.gingivalisは浮遊系の約31万分の1の増殖速度であった。微細形態的にはMRD灌流開始7日目よりバイオフィルム形成がみられ,その後経時的なバイオフィルムの形態的変化とATP量の変化には相関が認められた。さらに,P.gingivalisバイオフィルムに対する化学療法剤の抗菌効果をMRDを用いたATP測定法により検討した。3種の化学療法剤,すなわちグルコン酸クロルヘキシジン,ミノサイクリン塩酸塩,メトロニダゾールのうち,クロルヘキシジン作用時には,1日後にATP量が約1/1000まで減少し,その後も7日後まで減少傾向を示した。一方,ミノサイクリンおよびメトロニダゾール作用時のATP量の変化は,7日後で約1/2であった。これらより,バイオフィルム中のP.gingivalisは増殖速度が遅く,浮遊系のP.gingivalisに抗菌効果を有するミノサイクリンやメトロニダゾールもP.gingivalisバイオフィルムには顕著な抗菌効果を示さないことを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Noiri Y. et al: "Identification of the periodontal disease-assiciated bacteria in the "plaque-free zone"."Journal of Periodontology . 71・8. 1319-1326 (2000)
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[Publications] 池澤由美子 ら: "Porphyromonas gingivalisバイオフィルムに対する化学療法剤の抗菌効果"日本歯周病学会会誌. 42秋季特別号. 160 (2000)
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[Publications] 恵比須繁之 ら: "バイオフィルム感染症としての歯周病の特徴"日本炎症学会雑誌. 21・2(印刷中). (2001)
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[Publications] 野杁由一郎 ら: "根尖性歯周組織疾患の難治化・慢性化に伴う細菌バイオフィルムの関与"Bacterial adherence研究会講演録. 15(印刷中). (2001)
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[Publications] Noiri Y. et al: "Participation of bacterial biofilm in refractry and chronic periapical periodontitis."Journal of Endodontics. 27(印刷中). (2001)