2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11470410
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
川崎 貴生 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (90002229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 究 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90312371)
高山 芳幸 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (30236369)
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Keywords | 多点時系列解析 / 咀嚼運動 / 下顔面皮膚の運動 / 運動の巧緻性 |
Research Abstract |
咀嚼運動の解析を行う被験者には、習慣性咀嚼側での咀嚼を指示してデータの採取を行うことがほとんどである。しかし、顎口腔系が正常であれば、明確な主咀嚼側が存在したとしても左右差は生じないはずである。このことに関する研究はほとんどなく、運動の巧緻性を機能評価に利用する上で確認しておく必要がある。 そこで、顎口腔系に特に異常が認められない健常有歯顎者10名を選択した。解析は、被験者毎に左右の咀嚼で各々行った。まず,得られた3次元時系列データを測定点毎に咀嚼ストロークに分割し,各測定点の咀嚼周期を求めた。次に,咀嚼運動時における各測定点の類似性を評価するために,各測定点間の規格化された咀嚼経路の2乗誤差と差分ベクトルの大きさを算出した。各測定点間の2乗誤差と差分ベクトルの大きさの最大・最小値の有意差検定には,ウイルコクソン順位和検定を行った。 その結果、1.下顔面皮膚上の測定点と下顎中切歯測定点の咀嚼周期は、同じ周期で安定していたことから、左右ともに巧緻性は高かった。2.各測定点間の規格化された咀嚼経路の最小2乗誤差平均値から、各測定点の咀嚼経路と類似した咀嚼経路を探したところ、左右の咀嚼で各測定点間の咀嚼経路の類似性は鏡像を示すことが分かった。3.ついで、測定点間の差分ベクトルを算出し、その大きさの最小平均値を計算した。差分ベクトルの大きさが最も小さかった測定点は、各測定点間の運動方向の類似性を示すが、この結果も鏡像を示すことが分かった。 以上より、健常有歯顎者の咀嚼運動時における下顔面皮膚上の動態傾向は、左右の咀嚼で鏡像関係を示すことが分かった.つまり,習慣性咀嚼側が存在しても顎口腔系が正常であれば、左右の咀嚼で下顔面皮膚上の運動巧緻性は同等であることが示唆された。したがって、顎口腔系の正常な被験者をコントロールとする研究において、習慣性咀嚼側を規定しないでデータの採取が可能であることを証明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sakaguchi K., Kawasaki T. et.al: "Application of principal component analysis to the elucidation of perioral soft tissue movements during mastication"The Journal of Oral Rehabilitation. 28. 286-293 (2001)
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[Publications] Sakaguchi K., Kawasaki T. et.al.: "Spaciostructural analyses of mandibular and perioral soft tissue movements during mastication"The Journal of Oral Rehabilitation. 28. 982-990 (2001)
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[Publications] Sakaguchi K., Kawasaki T. et.al: "Time-series analyses of mandibular and perioral soft tissue movements during mastication"The Journal of Oral Rehabilitation. (in press).