2001 Fiscal Year Annual Research Report
下顎頭運動軌跡からみたバイトプレーンの作用機序に関する研究
Project/Area Number |
11470414
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長島 正 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (40237516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 香 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90335365)
古谷 暢子 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10314387)
野首 孝祠 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80028753)
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Keywords | 顎関節症 / 顎運動 / バイトプレーン |
Research Abstract |
本年度は,最終年度として研究の総括を行うべく,昨年度まで行ってきたバイトプレーンの装着が下顎頭位に及ぼす影響に関するデータの蓄積を継続しつつ、その装着が咀嚼筋筋電図に及ぼす影響についても検討を加え,さらにバイトプレーンの作用機序について考察した.主な結果は以下のとおりである. 1)患者をバイトプレーン療法によって症状に改善が認められた群と改善が認められなかった群に分け,両群間でバイトプレーンの装着が下顎頭位に及ぼす影響について比較したところ,症状に改善の認められた群では,バイトプレーンの装着によって咬みしめ時の下顎頭移動量の左右差が有意に小さいことが明らかとなった. 2)バイトプレーン装着前後に咀嚼筋筋電図を記録し,咬みしめ時の咀嚼筋活動の左右差について検討を加えた結果,前述の症状に改善の認められた群ではバイトプレーンの装着によって筋活動の左右差が減少することが示された. 前年度までの研究成果から,咬合時の下顎頭移動量の左右差が大きいことが顎関節症発症の一因として考えられることが示されている.一方,本年度の成果から,バイトプレーン療法によって症状に改善が認められた顎関節症患者では,それを装着することによって下顎に咬合力などの負荷が生じた時の下顎頭の移動量および咀嚼筋活動量の左右差が減少し,機能的なバランスが改善することから,これがバイトプレーンの作用機序の1つであると考えられるとともに,バイトプレーンの装着によっても下顎頭移動量の左右差あるいは咀嚼筋活動の左右差に改善が認められない患者では,バイトプレーン療法による治療効果が期待出来ない可能性が示された.
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[Publications] 長島正, 太田雅之, 大橋一彦 ほか: "ナソヘキサグラフの精度および測定安定性について"第14回日本顎関節学会総会学術大会プログラム抄録集. 127 (2001)
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[Publications] 森本俊文, 松矢篤三, 野首孝祠, 小林義典編: "顎関節症入門"医歯薬出版. 244 (2001)