2000 Fiscal Year Annual Research Report
義歯材料に生ずる微生物腐食および磨耗・腐食の重畳損傷機構
Project/Area Number |
11470416
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
趙 翰燮 広島大学, 工学部, 助教授 (00253112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 昌信 広島大学, 工学部, 教授 (40034342)
濱田 泰三 広島大学, 歯学部, 教授 (50034244)
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Keywords | 歯科材料 / すき間腐食 / 微生物腐食 / 衝突滑走摩耗 / 摩耗腐食 |
Research Abstract |
本年度は、金属義歯材料の腐食試験と非金属義歯材料の衝突滑走摩耗試験を実施した。金属材料は金合金(KIK)、金銀パラジウム合金(S12)、Ni-Cr合金、Co-Cr合金、純Tiの5種類の合金を用い、主に、すき間腐食と微生物腐食挙動を評価した。また、非金属材料はレジン歯、硬質レジン歯、陶歯の人工歯を用い、咀嚼運動及び口腔内環境を模擬した衝突滑走摩耗試験装置で、衝突滑走摩耗試験を行い、それらの損傷挙動を解明した。 ● すき間腐食:S12の溶出金属イオン量は、KIKより多い。また、この両材料はすき間があると溶出イオン量は抑えられることが分かった。一方、Ni-CrとCo-Cr合金では、Ni-Cr合金のほうがCo-Cr合金より金属溶出量が多く、Co-Cr合金のほうが良い耐食性を示した。しかし、純Tiは金属イオンの溶出が見られず、高い耐食性を示した。 ● 微生物腐食:口腔内の歯垢などによって存在する微生物の影響も考慮する必要性から、本研究では実際に微生物が存在する環境で各材料のイオン溶出挙動を比較した。S12やKIKのような貴金属は、微生物が存在する環境では今まで見られたようなAgやCuの溶出ではなく、AuやPtの溶出が見られた。一方、Ni-Cr合金は微生物環境でどの金属元素も溶出量が大幅に増加しているのが分かった。特にNiであった。Co-Cr合金やTiにおいても同様の傾向が見られた。 ● 衝突摩耗滑走試験:異なる環境中の衝突、滑走摩耗及び衝突滑走摩耗試験では、レジン歯の場合は、運動形式(滑走、衝突・滑走)、及び水環境の違いによらず、最大摩耗深さ変化はほぼ同じ傾向を示した。しかし、硬質レジン歯の場合は、最大摩耗深さが運動及び環境の違いに大きく影響される。また、衝突滑走摩耗試験では、最初の段階(約10万回)、その損傷量は滑走摩耗のより少ない。しかし、その後、衝突滑走摩耗の量は大きくなって、約20万回以後、滑走摩耗の量より大きくなっていることが分かった。この現象を衝突による表面硬化と表面疲労損傷の機構で解説した。
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