1999 Fiscal Year Annual Research Report
新たな口蓋形成手術法の開発のために必要な口蓋挙筋の神経支配と筋線維構成の解析
Project/Area Number |
11470444
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
奥田 大造 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (30247530)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 亮太 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (50298410)
中山 洋子 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (30308647)
古澤 清文 松本歯科大学, 歯学部, 助教授 (90165481)
|
Keywords | 口蓋帆挙筋枝 / 舌咽神経 / 神経トレーサー / 疑核 / 孤束核 / 脳幹 / 延髄 / 運動ニューロン |
Research Abstract |
本研究は、生理学的および解剖学的な事実に立脚した口蓋形成手術の改良あるいは開発を行うための基礎研究として、口蓋帆挙筋の機能特性を明確にすることを目的としている。今年度は、疑核における運動神経細胞の局在を詳細に分析するとともに、一次求心線維の細胞体の局在および中枢投射部位についてHRP神経標識法を用いて検討した。実験にはwistar系ラットを用いた。口蓋帆挙筋を支配する神経枝にHRP-WGAを注入後、灌流固定を行い、脳幹と舌咽迷走複合神経節を摘出した。凍結横断連続切片を作製し、HRPを可視化した後に、光学顕徴鏡で観察し以下の結果が得られた。 1,運動神経細胞の中枢局在 HRP標識細胞は注入部同側の疑核に観察され、吻尾的に2つの独立した細胞集団を形成していた。吻側の細胞集団は、obexから吻側へ約2.6mm〜2.9mmの範囲に観察され、平均細胞数は4.2個、平均細胞直径は17.1士2.0μmであった。尾側の細胞集団はobexから吻側へ約1.3mm〜1.9mm、平均細胞数は13個、平均細胞直径は18.3±1.6μmであった。なお、両者の平均細胞直径には統計学的有意差を認めた。この結果は口蓋帆挙筋の複雑な機能を反映するものと思われるが、この点については次年度以降に明らかにしていく予定である。 2.一次求心線維の細胞体の局在および中枢投射部位 HRPに標識された一次求心線維の細胞体は、注入部同側の舌咽迷走神経複合神経節に平均3.5個観察された。HRP標識終末は、obexから吻側へ約0.24mm〜0.72mmの範囲で両側の孤束核に観察された。この投射様式は、筋線維の約半数が正中を越えて重なり合うことによってmuscle slingを形成する口蓋帆挙筋の解剖学的特徴に起因すると思われた。
|