2000 Fiscal Year Annual Research Report
炎症反応におけるMAPキナーゼの役割解明と新規抗炎症薬開発のための標的分子の確立
Project/Area Number |
11470481
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 和雄 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20006357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平澤 典保 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (80181155)
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Keywords | 好酸球 / 気道上皮細胞 / マクロファージ / p42 / 44 MAP kinase / アポトーシス / ICAM-1 / ヒスタミン / デキサメサゾン |
Research Abstract |
初年度に引き続き、炎症細胞の機能発現におけるMAP kinaseの関与について以下の3点について解析した。(1)好酸球のサバイバル:ラット腹腔好酸球をIL-5存在下で培養するとアポトーシスが抑制される。このアポトーシスの抑制におけるJAK2及びp44/p42 MAP kinaseの関与について検討したところ、JAK2は大きく関与するものの、p44/p42 MAP kinaseの関与は小さいことが明らかになった。(2)気道上皮細胞における接着分子ICAM-1の発現:気道上皮細胞株NCI-H292において、IFN-γ刺激あるいはTPA刺激によるICAM-1の発現に対するp44/p42 MAP kinaseの関与について検討した。その結果、IFN-γ刺激によるICAM-1の発現およびSTAT1のリン酸化にはp44/p42 MAP kinaseは関与していないこと、TPAによるICAM-1の発現には抑制的に作用していることが明らかになった。さらに、p44/p42 MAP kinaseが転写因子NF-κBの活性化に抑制的に作用していることが示唆され、他のシグナル経路とのクロストークの一例であると考えられる。(3)マクロファージのヒスタミン産生:初年度において、マクロファージによるヒスタミン産生にはp44/p42 MAP kinaseが大きく関与していることを明らかにした。本年度は、ステロイド性抗炎症薬の効果について検討した。ステロイド性抗炎症薬デキサメサゾンで24時間前処理した後、thapsigarginで刺激すると、ヒスタミン産生は濃度依存的に抑制された。この抑制作用は、p44/p42 MAP kinaseの活性化抑制作用とよく一致した。したがって、ステロイド性抗炎症薬の薬理作用の少なくとも一部はp44/p42 MAP kinaseの活性化抑制作用により発現していることが明らかになり、抗炎症薬の標的分子としてのp44/p42 MAP kinaseの有効性が示唆された。
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Research Products
(1 results)