2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝障害抑制因子としての一酸化窒素の役割に関する研究
Project/Area Number |
11470491
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
奥村 忠芳 関西医科大学, 医学部, 助教授 (80113140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹谷 茂 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (20121949)
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Keywords | 肝障害 / 一酸化窒素 / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / インターメイキン1β / 転写因子NF-κB / 肝細胞 |
Research Abstract |
肝臓の障害時に産生される一酸化窒素(NO)はその障害の進行および修復のいずれにも関与することが報告されている。.NOの合成酵素には3種類のアイソザイムが存在するが、誘導型のiNOSが病態時のNO産生の誘導に関与している。lL-1βのiNOS誘導には転写因子NF-κBの関与が良く知られているが、その誘導メカニズムの詳細に関しては不明な点が多い。lL-1βのiNOS誘導に影響を与える内因性および外因性物質の作用機作を明らかにしたので報告する。 1.高濃度グルコースはiNOS誘導を抑制する。 糖尿病では血管拡張因子としてのNOに対するグルコースの阻害効果が報告されている。血糖を支配する肝臓でのグルコースの影響を検討したところ、高濃度グルコース(15mM以上)は濃度依存性にNO産生を阻害した。転写レベルでの阻害が明らかとなったが、IκBの分解やNF-κBの活性化(核移行とDNA結合)には影響を与えていなかった。NF-κB活性化以降での未知の因子(シグナル)の関与が示唆された。 2.Pfdは肝細胞のiNOS誘導を抑制する。 Pirfenidone(抗繊維化試薬、Pfd)が肝不全ラットモデルにおいて死亡率を低下させたことより、肝細胞のiNOS誘導に対する効果をみた。Pfd(1mg/ml)はlL-1βのiNOSmRNAおよび蛋白質の誘導を完全に阻害した。さらにいNF-κBのDNA bindingを阻害することも明らかとなった。しかし、核内p65(NF-κBのサブユニット)の免疫沈降実験より、NF-κBの核移行には影響を与えていなかった。PfdはNF-κBのiNOS promoterのkB siteに結合するために必要なシグナルをブロックしていると考えられる。 3.cPrGは肝細胞のiNOS誘導を促進する。 Cycloprodigiosin・HCl(cPrG)はH^+/Cl^-のsymporterであり、リンパ球系細胞に対して免疫抑制効果を示し、NF-κBを介して癌細胞のアポトーシスを誘導する。cPrG(2μM)はIL-1βのiNOS誘導を転写レベルで促進(2-3倍)させた。しかし、IkBの分解やNF-κBの活性化には影響を与えなかった。 以上より、IL-1βのiNOS promoterの活性化にはNF-κBの活性化に加えて、IL-1βから同時に立ちあがるシグナルの存在が必須であることが予想される。今後、この未知シグナルを解明することが、iNOS誘導のメカニズムを明らかにする近道と考える。多くの内外の因子がそのシグナルを介して、実際にNO産生の誘導をコントロールしている可能性が高い。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kaibori, M.: "FK506, but not cyclosporin A, prevents mitochondrial dysfunction during hypoxia in rat hepatocytes"Life Sci.. 69. 17-26 (2001)
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[Publications] Yasuda, K.: "Platelet-activating factor acetyihydrolase isoforms I and II in human uterus. Comparisons with pregnant uterus and myoma"Biol. Reprod.. 64. 339-344 (2001)
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[Publications] Inoue, M.: "High density 0-glycosylation of the MUC2 tandem repeat unit by N-acetylgalactosaminyltransferase-3 in colonic adenocarcinoma extracts"Cancer Res.. 61. 950-956 (2001)
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[Publications] Oyaizu, H.: "Proteasome inhibitor 1 enhances paclitaxel-induced apoptosis in human lung adenocarcinoma cell line"Oncol. Rep.. 8. 825-829 (2001)
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[Publications] Kato, Y.: "Effect of epidermal growth factor on intestinal adaptation after allogeneic small bowel transplantation in rats"Lif Sci.. 70. 809-819 (2002)
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[Publications] Kaibori, M.: "Exogenously administered HGF-activator augments liver regeneration through the production of biologically active HGF"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 290. 475-481 (2002)
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[Publications] 海堀昌樹: "今日の移植14"肝臓の低酸素障害に対するFK506の保護効果. 61-66 (2001)