2000 Fiscal Year Annual Research Report
胃内一酸化窒素(NO)のインビボ測定とNOの上部消化管用剤との相互作用
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11470497
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Research Institution | INSTITUTE FOR LIFE SUPPORT TECHNOLOGY (ILST), YAMAGATA PUBLIC CORPORATION FOR THE DEVELOPMENT OF INDUSTRY |
Principal Investigator |
吉村 哲彦 財団法人山形県企業振興公社生物ラジカル研究所, 生物ラジカル研究所, 首席研究員 (70271517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木曽 良信 サントリー株式会社, 基礎研究所, 主席研究員
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Keywords | 一酸化窒素 / 生体内一酸化窒素 / 胃内のNO / チャンバード・スタマック法 / 亜硝酸イオン / 硝酸イオン / ニトロソチオール / ジニトロシルジチオラト鉄錯体 |
Research Abstract |
胃内において、一酸化窒素(NO)は上皮細胞、血管内皮細胞、粘膜下神経叢等に存在するN0合成酵素(NOS)によって産生されることが知られている。また、食物由来の硝酸塩は口腔内細菌によって還元されて亜硝酸塩となり、さらに亜硝酸塩は胃内の酸化的条件下で還元されてNOを生成すると報告されている。このように胃内で二つの経路によって産生されたNOは、胃粘膜血流、胃酸分泌、粘液産生、胃壁の蠕動運動など、様々な生理作用に関与している。しかし、胃粘膜において、NOはcytoprotectiveに働くとされる一方で、cytotoxicに作用するとも考えられており、未だその作用は明らかにされていない。また生体内では、ニトロソチオール(RSNO)およびジニトロシルジチオラト鉄錯体(DNIC)が内因性のNOドナーまたはNOキャリアとして、短寿命のNOの機能を補完していると考えられている。本研究ではラット胃のエタノール胃粘膜損傷モデル(Chambered Stomach法)を作成し、胃で産生されるNOおよびNOの安定酸化物であるNOxを、EPRスピントラップ法およびグリース法/HPLCにて測定するとともに、NO合成酵素阻害剤を用いて胃粘膜損傷におけるNOの役割を検討した。更に、内因性のDNICの生体内NO供与機構を検討した。その結果、(1)NOは胃粘膜血流を調節し、エタノールによる急性の胃粘膜の変化に対して、粘膜保護に寄与していると考えられた。(2)DNICは生体内でNO基転移反応を介して鉄含有タンパク質にNOを供与し得ることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 菅田英明: "エタノール胃粘膜損傷(ラット)におけるNO測定とNOの生理作用"磁気共鳴と医学. (印刷中). (2001)
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[Publications] 上野孝治: "内因性NO・チオレート鉄錯体のNO基供与性に関するEPRによる検討"磁気共鳴と医学. 11. 83-86 (2000)
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[Publications] 藤井敏司: "A new trend in iron-dithiocarbamate complexes : as an endogenous NO trapping"Coordination Chemistry Reviews. 198. 89-99 (2000)
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[Publications] 藤井敏司: "Reaction of nitric oxide with the iron(III) complex of N-(dithiocarboxy) sarcosine : a new type of reductive nitrosylation involving iron(IV) as an intermedaite"Journal of Chemical Society. Dalton Transaction. 3310-3315 (2000)
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[Publications] 藤井敏司: "Detection and imaging of endogenously produced nitric oxide with electron paramagnetic resonance spectroscopy"Antioxidants and Redox Signaling. 879-901 (2000)
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[Publications] 吉村哲彦 編著: "生体内一酸化窒素(NO)実験プロトコール"共立出版株式会社. 288 (2000)