2001 Fiscal Year Annual Research Report
パス解析による病院運営合理化の研究―タイムスタディおよび治療法選択過程をもとにして―
Project/Area Number |
11470500
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大野 ゆう子 大阪大学, 医学部, 教授 (60183026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 隆 京都大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40055992)
武田 裕 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20127252)
稲邑 清也 大阪大学, 医学部, 教授 (90203207)
門田 守人 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00127309)
井上 俊彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70028512)
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Keywords | 病院運営 / タイムスタディ / バックグラウンドジョブ / 運営評価モデル / パス解析 / 大学附属病院 / 付加価値 / 治療法選択 |
Research Abstract |
(1)病院業務変革の経緯追跡調査 本年度は新看護部長、新婦長になって2年目、病棟としては2月より看護婦の勤務体制を3チームから2チームにかえて夜間看護婦数を増加するなど新体制が定着してきた年といえる。看護支援システムの導入は今年度の予定であったが、来年度に延期された。今年度のタイムスタディは、業務記録処理の合理化、被験者への負担軽減を目的として9月後半に3日間実施した。病棟業務パス解析の効率化を目指した新たなデータ処理プログラム・分類法則の作成、プレテスト、検討は7月から行いデータ処理は新分類・分析プログラムに沿って行った。対象は研修3ヶ月目の医師と各勤務帯中堅レベルの看護婦1名ずつであった。 調査の結果、医師は15時間45分、看護婦は日勤で9時間28分、準夜で9時間1分、深夜で10時間4分の総勤務時間であった。準夜勤務人数を増やしたことは前年までの勤務時間から最高で47分短縮がみられたことで一応の成功をみたといえる。医師の勤務時間も前年よりは約20分短縮されていた。さらに、加速度センサを用いた運動量測定を試み、医師と看護婦の業務内容の相違を運動量変化から検討した。その結果、看護婦が常時一定量の運動状況を示しているのに対し、医師は急激な運動(階段の昇降など)と停止(記録)作業の連続であることなどが示された。 (2)病棟業務パス解析とデータベース化 看護婦の病棟業務は一連のパスにまとめらるものがある。今回は記録のテキスト入力、クエリによるデータマイニングによりプログラムによるパスの検出を試み、いくつかの業務まとまりを見出すことができた。目的別業務分類が行えるようにテキスト入力したことにより、入力時間の短縮と誤入力割合の低下も図ることができた。なお、前年度までのデータベースとの照合も可能であった。 (3)病院運営変革の経緯と運営評価モデルの検討 独立行政法人化を目前とした本年度は、病院長・医学部長選挙が重なった年でもあり医学部附属病院のあり方について大学共通の問題として検討することができた。研修看護婦制度、患者意識の変革下における実習病院機能のあり方、先進治療開発のあり方、リスクマネジメント、感染予防におけるスタンダードプレコーションなどいくつかの試みは継続検討の必要が認められた。業務量調査の対象病棟が消化器外科中心であったことから、今後は本研究で得られた知見、開発した調査分析方法、プログラムについて他病棟、他病院との比較検討を進めていく必要がある。
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[Publications] 沼崎穂高, 原内一, 大野ゆう子, 稲邑清也 他: "医療スタッフのワークフロー分析のための時間因子と行動内容による業務分類法"Japanese. Journal of Medical Physics. 21(suppl.3). 188-191 (2001)
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[Publications] 石井豊恵, 大野ゆう子 他: "患者状態の記述に関する研究-業務負荷解析の立場から-"第2回看護情報研究会論文集. 49-50 (2001)
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[Publications] 石井豊恵, 大野ゆう子, 他: "経験年数、職階による看護婦の病棟業務比較"日本公衆衛生雑誌. 48(10). 870-870 (2001)
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[Publications] 石井豊恵, 大野ゆう子, 他: "業務分析における階層モデル導入の可能性について:看護業務を例として"第21回医療情報学連合大会論文集. 526-527 (2001)
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[Publications] 中村亜紀, 大野ゆう子, 他: "病院システム変革(1998-2000)に伴う業務量変化の検討"第2回看護情報研究会論文集. 47-48 (2001)
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[Publications] 原内一, 沼崎穂高, 大倉保彦, 稲邑清也, 大野ゆう子, 笠原聡子: "医療人件費計算ための業務発生傾向のデータマイニング方法論の構築"日本行動計量学会第29回大会発表論文抄録集. 90-91 (2001)