2001 Fiscal Year Annual Research Report
7番染色体ゲノム刷り込み遺伝子群の単離と子宮内成長に関わる遺伝子の同定
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11470507
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Research Institution | Department of Human Genetics, Nagasaki University School of Medicine |
Principal Investigator |
新川 詔夫 長崎大学, 医学部, 教授 (00111170)
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Keywords | ゲノム刷り込み / インプリンティング / Silver-Russell症候群 / MEST / COPS2ITI / CPA3 / 刷り込みドメイン / 7q32領域 |
Research Abstract |
CPA3遺伝子の刷り込み解析:先に作成した7q32刷り込み遺伝子MEST周辺の遺伝子物理地図、転写地図内に局在する12種の遺伝子を解析した。12種の遺伝子中、刷り込みを証明もしくは否定したのは、MEST, COPG2, COPG2ITI (CIT1), KIAA0265, CPA3, CPA1, TSGA14の7種の遺伝子である。MESTとCOPG2ITIは父性発現、CPA3は部分的母性発現する刷り込み遺伝子であった。CPA3は、ヒト胎児心・腎・肺、成人前立腺組織では部分的刷り込みを示し、リンパ芽球様細胞株では、完全〜部分的刷り込みを示した。刷り込みは前立腺癌細胞株PC3では認めなかったので、刷り込みが消失している可能性があり、また、染色体上の局在は、前立腺癌の増悪因子座の一つであるD7S1804と一致することから、その腫瘍発生と増悪に刷り込みが関与する可能性がある。 新規遺伝子TSGA14の刷り込み解析:精巣特異的転写物A14をコードする新規遺伝子TSGA14を同定し、ゲノム構造を明らかにし、2種の転写産物を同定した。両型転写残物とも胎児組織と成人精巣で発現していた。十分なインフォームドコンセントのもとに得た、治療的流産由来のヒト胎児組織とその母親のDNAとRNA(cDNA)において発現解析を行った結果、両型転写産物共に、種々の胎児組織で両アレル発現がみられた。また正常成人リンパ球DNAを用い、TSGA14のCpGアイランドのメチル化の状態を検討したが、メチル化の差異はみられなかった。 結論として、COPG2、KIAA0265、CPA1、TSGA14は両アレル発現であり刷り込みを否定した。特に、MESTの両側に存在するTSGA14とCOPG2が直接刷り込みを受けていないというこれらの結果は、7q32領域は刷り込みドメインとして強く制御されず、独立した刷り込みシグナルによって制御されていることを示す。
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[Publications] Yamada T, et al.: "The novel gene, TSGA14, adjacent to the imprinted gene MEST escapes genomic imprinting"Gene. (in press). (2002)
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[Publications] Kayashima T, et al.: "Segmental maternal isodisomy for a chromosomal region 14q21-q24 in a patient with maturity-onset diabetes mellitus : possible assignment of a novel diabetes susceptibility locus to the region"American Journal of Medical Genetics. (in press). (2002)