1999 Fiscal Year Annual Research Report
発育期の走運動トレーニングが海馬の神経可塑性に及ぼす栄養効果
Project/Area Number |
11480004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
従矢 英昭 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (50221346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 隆彦 三重大学, 医学部・生化学, 助手 (60293776)
滝田 正寿 工学技術院, 生命工学研究所, 主任研究官
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Keywords | 発育期 / 走運動トレーニング / 海馬 / 神経可塑性 / 栄養効果 |
Research Abstract |
本研究では、学習・記憶の座であり、神経発生が生涯保たれ、神経再生さえ可能な部位として最近大きな注目を集めている海馬歯状回の顆粒細胞において、神経発生や生存率あるいはその刺激・栄養効果をもつ脳由来神経栄養因子(BDNF)の遺伝子発現などが増加し、認知機能にプラスの効果をもつという作業仮説を検討する。今回は,その機構の一つとして、長期間の走運動トレーニングでその分泌が増加することが明らかとなっている成長ホルモン(GH)の関与についても併せて検討することを目的とする。発育期の8週齢、SD系雄ラットを用い予め求めたLTレベルでのトレッドミル走運動(夏目社製、現有)を週5日、一日30分を一週間行う群と一ケ月にわたり行わせる群とに分ける.この>LT群に対し、対照群としては運動だけ行わない座業群に加え、LT以下(分速15m)でトレーニングした<LT群二つを設置し、効果を比較した。運動終了後脳を摘出し,ドライアイスで凍結固定する。凍結脳はその後ー20℃のクリオスタット(Zeiss、HM505E)で超薄連続切片を作製し、乾燥後、GHならびにBDNFの遺伝子(mRNA)に相補的的なcDNA(GHは三重大医学部生化学、BDNFは米国ロックフェラー大学から供与)を調整し、^<35>S―RNAアンチセンスプローブによるin situ hybridization(ISH)法を行い,海馬のアンモン角のCA1〜CA3,ならびに歯状核(DG)のGH受容体の遺伝子発現量を,画像解析装置により定量した。その結果,アンモン角,ならびにDGにおいて,LT以上の強度で運動させた群は,BDNFmRNA発現はむしろ低下したが,LT以下の強度では増加した。また,DGのGH受容体は一過性の運動で増加することが判明したが,トレーニング効果は現在検討中である.これまでの結果は,生活習慣病の予防や治療はもちろん,種々の運動トトレーニングの基礎づくりに書かせないLT強度の運動よりも,低い強度の方が海馬の神経栄養効果は高い効果をもたらすことが示唆している.今後は,これらの効果を神経再生の面や学習・記憶面から検証する.
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[Publications] 江藤文夫ら: "リハビリテーション阻害因子としての精神陞症候―分子生物学的最知見とリハビリテーション"Journal of Clinical Rehabilitation. 8. 858-865 (1999)
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[Publications] Fujikawa T.et al.: "Subcutaneously administerd prolactin and 20khGH,but not rGH or 22KhGh,prevent restraint stress―induced ulcers' in rats"Endocrine Journal. (in press). (2000)