2000 Fiscal Year Annual Research Report
素早い正確な動作のタイミングコントロール特性に関する研究
Project/Area Number |
11480007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大築 立志 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30093553)
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Keywords | タイミング / フェイント / かわす / 筋電図 / 予測 |
Research Abstract |
本年度は、スポーツや日常生活において周囲の状況に合わせて正確な動作を遂行するために重要な役割をもつ予測とタイミングの能力を、自分に向かってくる物体を「かわす」動作を取り上げて検討した。 短い音を一定時間(1秒)間隔で3回連続(タイミングキュー音)して与え、4回目の呈示時刻(すなわち最初の音から3秒後)に音の代りに1.5mの高さからボールを落下させる。被験者は椅座位で机上の待機位置に手を置いて待機し、ボールをできるだけ手に当る寸前まで引き付けてから紙一重でかわす。20試行中4試行に、通常とは異なる時刻にボールを落下させてタイミングフェイントをかけ、かわす動作の運動準備形成過程を検討した。 かわし成功率を見ると、最初の音の後にキュー音を与えなかった場合には、ボールリリース時刻が最初の音の2秒後から5秒後まで約85%と一定値を示し、最初の音から1秒後のリリースでは50%であった。このことから、運動開始の準備完了までには1秒以上2秒未満の時間が必要であること、その準備状態は少なくとも3秒は持続可能であることが明らかとなった。また、キュー音が与えられた場合には早いフェイント条件(ボールリリース時刻が最初の音の1秒後と2秒後)において35%、50%に低下した。このことから、ボールリリース時刻が予測しやすい場合には、最も出現確率の高い時刻に合わせて運動の準備を整えるというストラテジーが採用されていることが示された。 また、うまくかわせた場合とかわせなかった場合の筋電図を比較すると、うまくかわせなかった場合には筋放電開始時刻が遅く、主働筋の活動強度が小さいという、運動指令形成不全傾向が明かとなった。
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