2001 Fiscal Year Annual Research Report
科学的な問いの体系を基盤にした科学教育課程編成とカリキュラム・評価方法の開発研究
Project/Area Number |
11480031
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
下條 隆嗣 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50014767)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久田 隆基 静岡大学, 教育学部, 教授 (40022214)
寺谷 敞介 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60087533)
木村 捨雄 鳴門教育大学, 名誉教授 (90000059)
中山 玄三 熊本大学, 教育実践指導研究センター, 助教授 (40211437)
清水 克彦 国立教育政策研究所, 初等中等, 総括研究官 (00192609)
|
Keywords | 科学教育 / 発見と創造の連鎖 / 問いの体系 / 探求プロセスモデル / 科学的探求 / 社会的有用性 / 普遍科学 / 土着科学 |
Research Abstract |
2つの新しい視点を取り入れた科学教育課程の編成・カリキュラム開発の理論化を図った.一つは科学技術の先端化・高度化・複合化(俯瞰化),もう一つはICSU(国際科学会議)のPCBS(科学能力開発事業計画),WCS(世界科学会議)での,国連・ユネスコが掲げる全世界で「平和の文化」を推進するためのアジェンダ決議(1999年)を視野に入れて,教育課程の編成理論をまとめた.大きな方向は,1)発展途上国の"豊かさを"高める科学教育課程,2)普遍科学(Universal Science)と土着科学・伝統的科学(Local Science)との統合・総合化,3)伝統的な学問分野の枠組みを組み直すことで再構築を図り(Trans Discipline-oriented Curriculum),4)急激に進展する科学技術に対する高度化,より有用性の高い "Life and Culture",5) "Real World " and " Intelligence" (社会的有用性)の教育課程,そして,6)国民の科学能力の向上を図る "For All" と "For Excellence" を含めた科学教育課程編成の理論化を進めた. このカリキュラム設計構想と「実験観察と探究と発見」モデルを基盤にした科学的探究カリキュラム開発と実践授業・評価を行ない,研究成果の総括を行った. ここでは,3つのカリキュラム開発を基本設計モデルに基づき,これまでの概念・内容体系を重視した学問・知識理解重視の教育課程でなく,1) 「実験観察」を基盤に,現象層ー"概念層"ー"普遍化層" の3層からなる"科学的な問い""発見と創造" の連鎖(探究過程)〔エジプト・バビロニア数字の謎を解く〕,2) "もの作り(技術)"を基盤にした「工夫層」と科学的な「探究層」の2層モデルからなる〔早く走る自動車作り〕,3) より実践的な科学的・統計的探究モデル(とらえる-あつめる-まとめる-よみとる-いかす)に基づく環境教育カリキュラム(総合的な学習の時間の地域カリキュラム:土の子学習)を開発し実践し,科学観と科学的な探究方法力(探究能力)の形成を支援する単元カリキュラム開発,教育方法の有効性を検証した.
|
-
[Publications] 木村 捨雄: "未来社会の展望と科学教育の変革"科学教育研究(日本科学教育学会). Vol.26, No.1. 36-49 (2002)
-
[Publications] 坂元 昂, 木村 捨雄: "21世紀の多様性社会における基礎学力とは"学術の動向(日本学術協力財団). 第7巻,第2号. 65-67 (2002)
-
[Publications] Suteo KIMURA: "Current States of Teacher and Science Education in Japan"ICTE2001(International Conference Teacher Education), Quezon, Philippines, July 4-6, 2001. ICTE2001Vol.2No.1. 1-14 (2001)
-
[Publications] Suteo KIMURA: "Innovative Uses of the Interest in Science Education, Educational Reform and Cost Analysis of School Information System in Japan"J. Science Education(日本科学教育学会). Vol.25, No.3. 200-215 (2001)
-
[Publications] 木村 捨雄: "高度化する科学技術と画一性社会から多様性社会に向かう科学技術教育"科教研報(日本科学教育学会). Vol.15, No.5. 43-48 (2001)
-
[Publications] 大木 道則: "日本科学教育学会に期待するもの"科教研報(日本科学教育学会). Vol.15, No.5. 39-42 (2001)
-
[Publications] 角屋 重樹: "知の人間化を目指す科学教育のあり方"科教研報(日本科学教育学会). Vol.15, No.5. 49-52 (2001)
-
[Publications] 猿田 裕嗣: "科学教育研究の教育政策への反映-IEA国際数学・理科教育調査を例として-"科教研報(日本科学教育学会). Vol.15, No.5. 53-56 (2001)
-
[Publications] 飯尾 真世, 高野 庸, 間瀬口 浩子: "現代の自然像から見た総合的学習"科教研報(日本科学教育学会). Vol.15, No.5. 17-20 (2001)
-
[Publications] 関口 真澄, 土屋 信子, 高野 庸, 間瀬口 浩子: "自然界の基本法則を意識したイラスト入り自然科学入門書の作成"科教研報(日本科学教育学会). Vol.15, No.5. 21-26 (2001)
-
[Publications] 内藤 誠一, 下條 隆嗣: "科学カリキュラム開発に必要な研究対象の構造"科教研報(日本科学教育学会). Vol.15, No.5. 33-38 (2001)
-
[Publications] 木村 捨雄: ""実験ー発見ー創造ー理解"の連鎖の「科学的な問いの体系を基盤にした科学教育課程"統計教育研究(全国統計教育研究協議会). Vol.34, No.1. 5-19 (2001)
-
[Publications] 秋山 真人, 木村 捨雄: "「探求の共同体」を支援するインターネット共同学習支援システムの開発と実践的研究-数学史に見る探求課題「数字のなぞをとく!」を中心にして"科教研報(日本科学教育学会). Vol.15, No.2. 5-8 (2001)
-
[Publications] 濱畑 昭成, 木村 捨雄: "「物作り」を通して電気の概念形成を支援する「問いの連鎖」による学習モジュールの開発研究"科教研報(日本科学教育学会). Vol.15, No.2. 31-34 (2001)
-
[Publications] 登川 操, 木村 捨雄: "中学生の思考特性と帰納的アプローチを基盤とした理科授業の開発に関する研究"科教研報(日本科学教育学会). Vol.15, No.2. 35-44 (2001)
-
[Publications] 吉田 和弘, 木村 捨雄: ""Best Practices"を創造する教師教育の研究"科教研報(日本科学教育学会). Vol.15, No.2. 13-16 (2001)
-
[Publications] 木村 捨雄: "日本科学教育学会における科学教育課程研究I-社会的意義と展望-"日本科学教育学会年会論文集. No.25. 13-14 (2001)
-
[Publications] 下條 隆嗣: "日本における科学教育課程開発-本学会はいかなる戦略をとるべきか-"日本科学教育学会年会論文集. No.25. 18-19 (2001)
-
[Publications] 熊野 善介: "アメリカとカナダの科学教育スタンダードの作成過程並びに内容の比較と日本の科学教育課程への提言"日本科学教育学会年会論文集. No.25. 257-258 (2001)
-
[Publications] 木村 捨雄, 真島 貴美子: "子供の生活経験に根ざした情報の活用力・想像力を高める総合的な学習-統計的マインド育成の統計情報教育を基盤に-"筑波出版会(丸善). 170 (2001)