2000 Fiscal Year Annual Research Report
理科授業における児童・生徒の対話過程を通した自然認識の深化・拡大に関する研究
Project/Area Number |
11480046
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
森本 信也 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (90110733)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 圭司 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (00224501)
福岡 敏行 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (40165270)
|
Keywords | 理科授業 / 自然認識 / 対話 / 活動理論 / 社会的言語 / エスノメソドロジー / アイデンティティー |
Research Abstract |
本年度の研究として明らかにされた成果は以下の1.〜5.として整理できる。 1.ホワイトの提唱するストリング、命題、知的技能、エピソード、イメージ、パフォーマンス等の表現方法の多様性を、理科授業において子どもが構成する論理の分析に適用するとき、この視点は子どもの認識の深化・拡充の過程を記述するのにきわめて有効であることが明らかにされた。 2.教師の子どもへの学習支援の視点として、ホワイトの理論を援用するとき、援用しない場合と比較して、子どもの認識の広がりには差異があることが明らかとなった。 3.子どもの学習支援の方途として表現方法の多様性を保証するとき、それは、同時に、他者の認識との交流を視野に入れた対話的な理科授業の成立を促すことが明らかとなった。 4.対話的な理科授業を促進するための方途として、子どもにおける表現方法の多様性の保証が重要な視点となることが明らかにされたが、それは、教材提示の視点をも変容させることが明らかとなった。言い換えれば、理科授業において子どもに経験させるべき事項の一種の体系化を促すものであった。この実現において、プロンフェンブレンナーが提唱する経験の体系化理論が有用であることが明らかとなった。 5.来年度は、上述の視点を踏まえて理科授業の事例的な研究を通して、その成立を保証する諸要素の分析を行いたい。
|
-
[Publications] 森本信也: "自問自答する力を育てる理科授業とその視点"日本初等理科教育研究会編「初等理科教育」. 34・2. 18-21 (2000)
-
[Publications] 森本信也: "子どものコミュニケーション活動に見るメタファーとしての科学概念の深まり"理科教育学研究. 41・2. 21-30 (2000)
-
[Publications] 森本信也: "子どもの小さな協同的な学びへ"日本初等理科教育研究会編「初等理科教育」. 34・11. 10-13 (2000)
-
[Publications] 田中保樹,福岡敏行: "概念地図法の導入による観察・実験レポートの目次づくり"日本理科教育学会編「理科の教育」. 50・2. 30-33 (2001)
-
[Publications] 福岡敏行,大貫麻美: "メダカ教材における科学的概念構築過程の基礎的研究"横浜国立大学教育実践研究指導センター紀要. 17(印刷中). (2001)
-
[Publications] 加藤圭司: "理科の学習論研究と授業実践"日本理科教育学会編「理科の教育」. 49・12. 8-11 (2000)
-
[Publications] 角屋重樹,森本信也: "小学校理科教育はこう変わる"学校図書. 216 (2000)
-
[Publications] 角屋重樹,森本信也: "見通しを持って学ぶ子どもを育てる理科学習"東洋館出版社. 156 (2000)