2000 Fiscal Year Annual Research Report
水中の光環境と溶存有機物の光化学分解に関する基礎研究
Project/Area Number |
11480129
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大田 啓一 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (80022250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱 健夫 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (30156385)
吉岡 崇仁 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (50202396)
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Keywords | 水中光化学 / 腐植物質 / 汚染有機物 / 照射実験 |
Research Abstract |
自然水域の水中光による溶存腐植と汚染有機物の分解特性を明らかにするために、(1)河川水から腐植画分を分離し、(2)その化学的性質を明らかにした上で、(3)腐植物質と代表的な汚染有機物を用いて光照射実験を行った。 (1)天然水からの溶存腐植画分の分離 溶存腐植画分の分離法として、XAD吸・脱着、減圧遠心濃縮-分子篩い、限外ろ過などを試みた。その結果、タンジェンシャルフロー限外ろ過法が最適であることがわかり、この方法を10-60Lの琵琶湖湖水と河川水に適用して腐植画分を分離した。 (2)溶存腐植の化学的性質と定量 分離した腐植画分の蛍光スペクトルは、365nmの励起で478nmの蛍光ピークを示し、UVスペクトルはpH変化への依存性は小さく、また河川流域の現在の植生を反映するリグニンフェノール組成を示す。この性質に基づいて、定量を試み、河川水、特に源流の水については腐植が溶存有機炭素の90%以上をしめる主成分であるが、下流に向かってその割合は減少し、琵琶湖においては湖水溶存有機炭素のおよそ50%を説明する構成成分となっていることがわかった。 (3)腐植ならびに汚染有機物の光化学分解 試料水、腐植画分、有機化合物標品を、石英ボトルに入れ、太陽光ならびに人工光源によって照射し、光化学分解性を検討した。その結果、腐植画分自身は、ほぼ一反応に近似できる分解性を示し、スペクトル変化は、きわめて大きかった。有機化合物標品については、芳香族炭化水素が、腐植混合系での分解促進性を示した。尿素も光分解性を示すことが本研究によって初めて見いだされた。
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