2000 Fiscal Year Annual Research Report
北半球中・高緯度オゾン減少の力学的・化学的メカニズムの解明
Project/Area Number |
11480131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 真 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00225343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勝久 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (60011764)
近藤 豊 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20110752)
竹川 暢之 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (00324369)
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Keywords | 成層圏オゾン / 北極極渦 / 不均一反応 / 輸送効果 / フーリエ変換赤外分光法 |
Research Abstract |
観測された最近10年間のオゾン減少の大きさは、現在の最新の数値モデル計算結果の予測を大きく上回っている。この中緯度におけるオゾン減少を説明するためには、北極からの化学的に変質した空気の中緯度への輸送の効果と、中緯度特有の不均一反応の効果を、正しく評価する必要がある。このような現在の成層圏オゾン研究の現状に対し、本研究では北極域(スウェーデンのキルナ)および中緯度(北海道母子里観測所および陸別総合観測室)におけるフーリエ変換赤外分光法等による多成分同時観測と、観測に基づいた気象場を入れた3次元化学輸送モデルという2つの方法を組み合わせることによって、オゾン破壊のメカニズムの研究を行った。 H12年度には、第一にオゾンの減少の大きい冬から春先を中心に各観測点において高精度の赤外分光観測等を実施した。特に北極極渦の影響を受けたような空気塊の輸送に伴う化学組成の変化を捉えることに成功した。第二に観測された赤外の吸収線の形から、オゾン等の高度分布を推定するアルゴリズムを採用し、データ解析の高精度化を行った。第三に95年および96年のオゾン、塩酸(HCl)、ClONO_2の新しい解析結果について、ケンブリッジ大学の3次元光化学輸送モデルとの比較を行った。この結果、北極極渦の影響を受けた空気塊が日本など北半球中緯度まで到達した場合には、極域の低温下において生じたと考えられる不均一反応による塩素の再分配の影響が見られることが分かった。これらの空気塊中では、活性化した塩素による破壊によりオゾンが減少していたことが、モデル計算との比較から明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Koike, 他23名: "A comparison of Arctic HNO_3 profiles measured by ILAS and balloon-borne sensors"J.Geophys.Res.. 105. 6761-6772 (2000)
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[Publications] M.Koike, 他14名: "Impact of aircraft emissions on reactive nitrogen over the North Atlantic Flight Corridor region"J.Geophys.Res.. 105. 3665-3677 (2000)
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[Publications] M.Koike, 他3名: "Denitrification and nitrification in the Arctic stratosphere during the winter of 1996-1997"Geophys.Res.Lett.. 27. 337-340 (2000)
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[Publications] M.Koike, 他8名: "Partitioning of reactive nitrogen in the midlatitude lower stratosphere"Geophys.Res.Lett.,. (in press). (2000)
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[Publications] M.Koike, 他10名: "Assessment of the uncertainties in the NO_2 and O_3 measurements by visible spectrometers"J.Atmos.Chem.. 32. 121-145 (1999)