2000 Fiscal Year Annual Research Report
仮想廃棄物焼却炉モデルの構築による非意図的生成物質の生成機構解明
Project/Area Number |
11480145
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安井 至 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20011207)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂村 博康 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (00114489)
宇都野 太 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (70232874)
|
Keywords | 焼却炉 / 燃焼 / 燃焼反応 / プラスチック / 廃棄物 / 償却モデル / ダイオキシン |
Research Abstract |
日本のような国土状況では、廃棄物の焼却は必須であるが、ダイオキシンなど非意図的に生成する化学物質の制御を十分に行うことが求められている。しかしながら、ダイオキシンなどが有害性であるためもあり、また、生成する有害物質が多様であることもあって、焼却炉の操業条件と特定有害物質の放出の相関をマクロ的に解明するといった立場の研究が主流であって、ミクロ的あるいは分子論的検討が決定的に遅れている。 本研究では、マクロ的な研究情報を補完し、よりミクロ的・分子論的立場から焼却プロセスを理解するために、仮想焼却炉モデルを構築することが目的である。実際の焼却炉では、まさに混合状態にあるさまざまな固形物が燃焼している。そこで、本実験では、個別的な廃棄物を微量の塩素および金属元素に着目して分析し、併せて、燃焼ガス中の化合物の同定を試みる。燃焼条件としては、酸素量、温度、金属元素の存在の有無を変化させることによって、主たる生成物の追求を行う。しかし、これまでの経験からも、生成物の特定は相当困難である。そこで、次の分子論的燃焼炉モデルを構築し、どのような分解生成物が存在しうるかについて検討を行う必要がある。 酸素濃度が一定の条件での燃焼反応を調べている。昨年度に自作した密閉系の加熱燃焼装置をさらに発展させ、系の酸素を十分に利用できる装置を自作した。完全燃焼となる量のプラスチック試料を燃焼後、その気体生成物のうちの分析対象物をガスクロマトグラフによって分析した結果、酸素濃度は反応前のほぼ数%になった。この装置を用いて、試料量を変化させた結果、酸素量が十分である場合は発生ガスはほぼCO2であり、試料量が増すとCO2に加え、分解反応によると考えられるCH4、C2H4、COが発生し、さらに試料が多いと、ポリスチレン、ポリエチレン、PETのどの試料においても、ベンゼン(C6H6)の発生がGC-MSの分析によって明らかとなった。
|
-
[Publications] I.Yasui,H.Sakamura,K.Nakazawa,T.Ohkawa.: "Life Cycle Impact Assessment for Beverage Containers by the Method Based on the Consumntion of Time"Proc. 5th Int.Conf.On Ecobalance,Tsukuba. 22 (2000)
-
[Publications] H.Sakamura,Itaru Yasui,K.Morishita,K.Tanaka: "Life Cycle Analysis of Aluminum Can in Japan"Proc.5th Int.Conf.On Ecobalance,Tsukuba. 55 (2000)
-
[Publications] 安井至: "IT社会のハードから見た課題"ゼロエミッションシンポジウム2000予稿集. 111 (2000)
-
[Publications] 安井至: "環境コミュニケーションと広告"日経広告手帳. 2. 2-9 (2000)