2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11480150
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野島 哲 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (30112288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 敬介 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (50243887)
渡慶次 睦範 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30291983)
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Keywords | 造礁サンゴ / サンゴ礁 / 群集構造 / 個体群動態 / 加入・定着 / 分散 / 多様性 / 共生生物 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、石西礁湖においてサンゴの産卵調査とともにサンゴ幼生の定着・加入量を測定した。2002年は石西礁湖の水温上昇が異常で、ミドリイシ属サンゴの産卵は4月と5月の満月前後に分割された状態で観察され、例年のように典型的な一斉産卵は見られなかった。2001年は、1998年の白化の後、この数年全く見られなかったサンゴの定着がみられ、白化のダメージから徐々に回復しつつあることが伺えたが、2002年は前年の中規模のサンゴ白化現象の影響を受けてか定着量は再び急減した。昨年も7月から8月にかけて海水温が29度前後となり、以前ほどの規模ではないものの、石西礁湖で白化現象が見られ、約5%程度のサンゴが死滅したことがわかった。成長実験の結果、テーブルサンゴの年間成長量は直径にして約5cmで、年間の死亡率もまた高い値を示した。1998年のサンゴ白化以降も規模の差こそあれ毎年白化がおこって慢性化し、加入率に比べて死亡率が高く、バランスが崩れて個体群構造が崩壊しつつあると結論された。 一方、沖縄本島の瀬底島周辺では、いまだに1998年の白化のダメージから回復しておらず、定着したばかりの稚サンゴさえもオニヒトデに摂食され、依然として壊滅状況にあることがわかった。沖縄本島への卵の供給源とされる慶良間諸島では、白化による被害は少ないものの、オニヒトデによる食害のため死亡率は高く、石西礁湖と同じくサンゴ個体群・群集が危機的状況にある。 非サンゴ礁域である天草では数年前からサンゴの北上が観察され、サンゴの定着量はサンゴ礁域と比べると極端に低いが、年間成長量は直径にして約6cmと、むしろ石西礁湖の成長量よりも高かった。研究所のある富岡半島周辺ではテーブルサンゴが多数定着し、シミュレーシヨンでは10年後には海底の殆どがサンゴに覆われることが予想された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsuchiya M, S.Nojima: "Occurrence of Trapezia associated with Acropora : on the "wrong" host coral?"Coral Reefs. 21. 160 (2002)
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[Publications] Nojima S., M.Okamoto: "Coral bleaching in 2001 at Sekisei Lagoon, Japan"Abstracts of PACON 2002, Makuhari. 156 (2002)