1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11480168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阪口 雅郎 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30205736)
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Keywords | トポロジー / シグナル配列 / 膜タンパク質 / 小胞体 / 生体膜 / タンパク質膜透過 / 立体構造 |
Research Abstract |
真核細胞における膜タンパク質の構造形成原理解明に向けて以下の成果を挙げた。 (1)小胞体マルチスパン膜タンパク質であり、アルツハイマー病の病因に緊密に関連することがわかっている"プレセニリン1(PS1)"について、膜トポロジーとその形成機構をin vitroならびに培養細胞を用いたin vivo系で解析した。その結果、PS1 は7つの膜貫通セグメントを有し、カルボキシル末端に近い疎水性セグメントは膜貫通ではないものの、膜内ではないものの、膜内に深く結合しているとする、"7-膜貫通・1-膜内セグメント"構造をしているとする構造モデルを提唱した。(研究発表、Nakaiら、1999) (2)10以上の膜貫通セグメント(TM)を有する典型的なマルチスパン膜タンパク質である"バンド3タンパク質"について、アミノ末端のTM(TM1)が効率の良いII型シグナルアンカー配列であり、TM2はこのTM1のすぐ近傍にあるときにのみ正確に膜内に組み込まれることを明らかにした。この成果をもとに、"TM間の相互作用によって、親水性の低いセグメントが膜貫通トポロジーを形成できる"とする、新しいマルチスパン膜タンパク質のトポロジー形成モデルを提唱した。(Otaら、投稿中) (3)マルチスパン膜タンパク質の構造形成に決定的な機能を発揮する"内在性I型シグナルアンカー配列"の小胞体膜への標的化とそれに続く組み込みの素過程について解析を行った。その結果、このシグナルアンカー配列の構造特性・タンパク質合成時における膜への進入のタイミングなどが解明された。特に、このシグナル配列の疎水性セグメントがリボソームから出現すると同時に膜に侵入すること、小胞体膜への標的化は、蛋白合成のこれより早い段階ですでにすんでおり、組み込みよりは短い段階で進行することを見出した(Kidaら、投稿中)
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[Publications] Nakai,T.: "Membrane topology of Alzheimer's disease-related Presenilin1 - Evidence for the existence of a molecular species with a seven membrane-spanning and one membrane-embedded structure."J. Biol. Chem.. 274. 23647-23658 (1999)
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[Publications] Kusano,K.: "Protein synthesis inhibitors and ethanol selectively enhance heterologous expression of P450s and related proteins in Escherichia coli."Arch. Biochem. Biophys.. 367. 129-136 (1999)
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[Publications] Sasaki,K.: "Membrane perturbing factor in reticulocyte lysate,which is transiently activated by proteases."FEBS Letters. 454. 345-348 (1999)
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[Publications] Sakaguchi,M.: "マルチスパン膜タンパク質の立体構造形成:親水性膜貫通セグメントの組み込みをも説明する新しいモデル"細胞工学. 18. 102-112 (1999)
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[Publications] Sakaguchi,M.: "小胞体でのタンパク質の合成・膜透過・膜への組み込み"臨床化学. 28. 48-56 (1999)