2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラット肝ミクロソーム由来プロテアソームの構造と機能解析
Project/Area Number |
11480170
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
小出 武比古 姫路工業大学, 理学部, 教授 (60018695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 文稔 姫路工業大学, 理学部, 助手 (00212069)
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Keywords | プロテアソーム / ERbプロアテソーム / ミクロソーム / タンパク分解 / ラット肝 / 小胞体品質管理機構 / 小胞体関連分解 |
Research Abstract |
プロテアソームは広く真核生物の核および細胞質に存在する高分子プロテアーゼで、種々のユビキチン化蛋白の分解はじめ、細胞周期・免疫・炎症・受精・アポトーシスおよびストレス応答などきわめて多方面に機能する多機能性プロテアーゼである。我々は、これまで血漿蛋白質をモデルとして、遺伝性の変異蛋白質あるいは薬物誘導による変異蛋白質が、生合成後の分泌過程において、小胞体の品質管理機構により選択的に分解されること、さらに、その分解がプロテアソームによるものであることを明らかにしてきた。 本研究は、我々が世界に先駆けて精製に成功したラット肝ミクロソームからの2種類の膜会合性および結合性のプロテアソーム(それぞれERaプロテアソームおよびERbプロテアソームと命名)の構造的・酵素化学的性状を詳細に解析して、細胞質プロテアソーム(20S)との相違点を明らかにすると共に、小胞体プロテアソームに特有のサブユニットの構造を決定して、上記の小胞体の品質管理機構における機能を明らかにすることを目的とする。今年度は、ERbプロテアソーム(以下、ERb)のサブユニット構造を詳細に解析し、以下のことを明らかにした。 1.逆相HPLCカラムからのERbサブユニットの溶出パターンは、20Sのそれと一部異なり、20Sのサブユニットβ2とα5に相当するピークが、ERbでは、それぞれ2つずつのピークとして得られ、ERbには、β2とα5以外に極性の異なるサブユニット(それぞれをBとLと呼ぶ)が存在することがわかった。 2.β2とBの2次元電気泳動でのスポット位置の比較では、Bはβ2よりも酸性側にシフトしていたが、ホスファターゼ処理により、差はリン酸化によるものであることが確認出来た。また、α5とLの2次元電気泳動でのスポット位置の比較では、若干の差異が認められたが、ほぼ同一であることが確認出来た。 3.Bのリジルエンドペプチダーゼ消化物のMALDI-TOF/MSでの比較ではβ2とほぼ同じパターンを示した。 4.α5とLの各種プロテアーゼ消化物のMALDI-TOF/MSでの比較では、α5のアミノ酸配列からは予測されず、かつα5からは検出されなかった分子質量のピークがLから検出され、構造に差異があることが認められた。 5.プロテインシークエンサーによるN末端配列分析の結果、α5のN末端は、前駆体のN末端のMet-Phe-Leuが除かれた後のThrであるのに対して、LのN末端はブロックされていた。MALDI-TOF/MSの結果を合わせて考えると、LのN末端はα5の前駆体のN末端のMetがアセチル化されたものであることが示唆された。 以上をまとめると、ERbには、β2以外に、β2と極性と等電点が異なるBが、また、α5以外に、α5とN末端の構造が異なるLが存在した。すなわち、20SとERbの間で、少なくとも2つのサブユニットの方に、構造の異なるものが存在することが確認され、これがERbの膜結合性を担っている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)