2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11480177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大矢 禎一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (20183767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園池 公毅 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (30226716)
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Keywords | 細胞壁 / グルカン / アクチン / 細胞膜 |
Research Abstract |
細胞壁は細胞外にあり、細胞内外からの圧力に抗して細胞の形態を保持している固い殻である。その固い殻がどのように合成されているかはほとんど不明であった。今回、グルカン合成酵素の触媒サブユニットFkspにGFP(Green fluorescent protein)を融合させたFks1p-GFPを作成し、生細胞における触媒サブユニットの細胞内局在を観察した。その結果、細胞壁合成酵素がダイナミックに細胞膜上を移動することを発見した。生きた細胞中で0.5秒おきに連続で輝点を追うことにより、グルカン合成酵素は細胞膜表面を移動していることがわかった。出芽したばかりの小さな芽では、点状のシグナルが1秒間に数百ナノメーターのオーダーで動き回わっていた。その動きは決して直線的ではなく、むしろランダムな動きであった。既に細胞膜の表層近くでアクチン・パッチが同様な動きをすることが知られていること、及びアクチン・パッチとグルカン合成酵素の点状の局在は共局在していることから、アクチン・パッチの動きに連動して細胞膜上のグルカン合成酵素が移動していることが推測され、このことをアクチン・パッチの動きを止める酵母の変異株を用いて証明した。さらに、この変異株を用いることにより、グルカン合成酵素が細胞膜上を移動できなくなると均一な細胞壁を形成できなくなること、および異常な細胞壁を形成することを証明した。こうして、細胞壁合成の場が細胞膜上を移動していることを初めて証明し、細胞壁合成酵素が動くことの生理学的意義を示すことができた。
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