2000 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造の粗視化による膜タンパク質機能中間体の構造変化の研究
Project/Area Number |
11480188
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
美宅 成樹 東京農工大学, 工学部, 教授 (10107542)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園山 正史 東京農工大学, 工学部, 助手 (40242242)
|
Keywords | 膜タンパク質 / 機能中間体 / 粗視化 / 立体構造 / 構造安定性 / バクテリオロドプシン / 膜貫通ヘリックス / レチナール |
Research Abstract |
タンパク質は特定の立体構造を作り、機能するという意味で特殊な高分子である。しかし、一般にアミノ酸配列の情報のみからタンパク質の立体構造を予測することは非常に困難である。そして、現在実用化されている立体構造予測は、ほとんど、立体構造既知のタンパク質の構造を参考にする方法である(経験的手法)。しかし、膜タンパク質は水溶性タンパク質とは違い、実験的に構造解析が困難で既知構造が極端に少ないため、経験的手法を適用することが難しい。したがって、膜タンパク質については、経験的手法に頼らず、分子内・分子間相互作用を考慮するなどして、理論的に構造を予測する手法が求められている。最近私達は、典型的な膜タンパク質であるバクテリオロドプシンを対象として、実験・理論両面から検討を重ねた結果、構造を粗視化した考え方で構造形成の問題を取り扱うと、非常に現実的な構造を再現できることが分かってきた。しかし、この方法の難点は計算時間がかかることである。本年度は、アミノ酸の極性相互作用指標を用い、(1)の段階を近似的に計算するシステムを開発した。このシステムを構造既知の7回膜貫通型膜タンパク質であるバクテリオロドプシンに応用したところ、従来の方法では、(1)の段階に約3日要するのに対し、新しい方法では約7秒で計算可能になった。ただ計算の精度自体は低下してしまっているので、これを改善し、多くの膜タンパク質に対して適用できるようなシステムを開発するために、膜表面における相互作用などを取り込む新たなアルゴリズムを検討する予定である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 石川孝 ら: "概念階層と探索バイアスを用いた・LP手法によるタンパク質機能モデルの発見"人工機能学会誌. 151. 169-176 (2000)
-
[Publications] H.Sakai et al.: "Ultrasonic Properties of a Binary System of a Soluble Proein, α-Lactalbumin and Dimyristoyl Phosphatidylcholine Membrane."Jpn.J.Appl.Phys.. 39. 2948-2949 (2000)
-
[Publications] M.Suwa et al.: "A novel measure characterized by a polar energy surface approximation for recognition and classification of transmembrane protein structres."Proteins. 41・4. 504-517 (2000)
-
[Publications] H.Takatsugu et al.: "A triangle lattice model that predicts transmembrane helix configuration using a polar jigsaw puzzle."Protein Engineering. 13・11. 771-778 (2000)
-
[Publications] H.Sakai et al.: "Effect of Carbonic Anhydrase II in the Molten Globule State on Physical Properties of Dimyristoyl Phosphatidylcholine Liposome."Jpn.J.Appl.Phys.. (印刷中).
-
[Publications] 美宅成樹: "子どもにきちんと答えられる遺伝子Q&A100"講談社. 237 (2000)
-
[Publications] 美宅成樹: "生体とエネルギーの物理"裳華房. 239 (2000)