2000 Fiscal Year Annual Research Report
RNAポリメラーゼによるDNA転写の1分子メカニクス
Project/Area Number |
11480195
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience, Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原田 慶恵 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10202269)
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Keywords | RNAポリメラーゼ / DNA / 転写 / 顕微鏡 / イメーシング |
Research Abstract |
DNAは1ピッチがおよそ10塩基対、長さ3.4ナノメートルの右巻き2重らせん構造をしていることから、多くの人はRNAポリメラーゼはDNAを転写するとき、らせん階段を昇っていくようにくるくると回転するだろうと考えていた。しかし、これまでに転写中の回転の様子は観察されていなかった。そこで、今回、RNAポリメラーゼがDNAを転写する時、DNAのらせん構造をなぞっているかということを調べる実験を行うことにした。まず転写中の回転運動を観察するシステムを開発した。RNAポリメラーゼとDNAの複合体をガラス基板上に固定し、あらかじめビーズを結合させるためにビオチン化したDNAの片端に回転観察のための目印として非常に小さな蛍光ビーズ(直径20nm)をつけた、直径約0.8μmのストレプトアビジンビーズを結合させ、RNAポリメラーゼの転写を開始させる。ビーズの動きを蛍光顕微鏡で観察すると、ビーズは時計回りにくるくると回転した。時計方向の回転は、RNAポリメラーゼが右巻き2重らせんにそってDNAをたぐり寄せる時に予想される回転方向と一致する。回転速度は最高で5秒間に1回転程度であった。DNAは非常に柔らかいので、転写とは無関係に回転ブラウン運動をしている。そのために時々反時計方向にも回る。基質である4種類のヌクレオチドの濃度を変えて、回転の速度を測定した。ヌクレオチド濃度が低い時、回転の速度は遅く、濃度が高くなるにつれて回転速度は速くなっていった。これはRNAポリメラーゼのRNA合成速度を反映している。ヌクレオチド濃度が低いとき、回転速度とRNA合成速度を比較してみると、RNAポリメラーゼがDNAの2重らせんの溝を正確になぞりながら転写していることを示唆していた。
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[Publications] Adachi,K.: "Stepping rotatin of F1-ATPase visualized through angle-resolve single-fluorophore imaging."Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 97. 7243-7247 (2000)
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[Publications] Harada,Yoshie: "Direct observation of DNA rotation during transcription by Escherichia coli RNA polymerase"Nature. 409. 113-115 (2001)